ミキサー車の仕組み・構造はどうなっているの?生コン車の構造を徹底解説!
「生コンクリート」を運搬する車と言えばミキサー車です。こういった液体状のものを運搬する専用の車両は珍しいもので、生コンクリートはミキサー車以外で運搬することはできません。
そこでここではそんなミキサー車の仕組み、構造について紹介していきたいと思います。
Contents
ミキサー車の仕組みと構造とは?
ミキシングドラム
ミキサー車の最大の特徴はその巨大なドラムです。これは「ミキシングドラム」と呼ばれるもので、その内部には「ミキシングフレーム」と呼ばれる大きなネジ状の羽根が回転しています。
これが回転していることで生コンクリートが沈殿したり凝固したりすることなく攪拌することができるのです。またこれは排出するときにも必要となります。
アルキメデスの原理の応用
ミキシングフレームは時計回りに回転することで生コンクリートを攪拌していますが、外部に生コンクリートを輩出するときには反時計回りに動かします。これはアルキメデスの原理を利用したものです。
アルキメデスの原理とは「流体中の物体はその物体が押しのけている流体の重量と同じ大きさで上向きの浮力を受ける」というものです。この作用によって生コンクリートはミキシングフレームに沿って移動していき、上部までいくと下部に落ちるため外部に排出することができるのです。
特種用途自動車
ミキサー車は生コンクリートを攪拌しながら運搬するという特殊構造を持っている車両ですので「8ナンバー車(特種用途自動車)」として扱われます。
ミキサー車の呼び方について
1949年に初めてミキサー車が登場するまでコンクリートは作業が行われている工事現場で作るという手間がかかっていました。そのためコンクリートを作る人によって品質に大きな差がでるだけでなく大きな負担にもなっていました。
しかしミキサー車が登場してからは均一の品質のものを使用できるようになっただけでなく現場での手間を大きく削減することも可能となったのです。ミキサー車の名前はあくまで一般的に使用されているものであり、正式には「トラックアジテータ」という名前があります。
ミキサー車の各部名称と役割を紹介!
ホッパ
ホッパは車両の後部上方にある生コンクリートの投入口です。生コンクリートは温度によっても品質が変わってしまうことがあるので遮熱効果があるカバーをホッパにかけることで変質を防いでいます。
フローガイド
架装する会社によって名称は違っているものの基本的には車両後方のV型をしている生コンクリートの通り道の部分です。生コンクリートをシュートに集める「じょうご」のような働きをしています。会社によっては「スクープ」と呼ばれることもあります。
シュート
生コンクリートを目的の位置に移動させる樋のことです。目的に合わせて上下左右に回転させることができるようになっています。
水タンク
生コンクリートを排出した後にドラム、ホッパ、シュートを洗浄するための水を入れたタンクで、小型では100ℓほど、大型で200ℓほどあります。
水ポンプ
水タンクの水を加圧して洗浄ホースへ水を送り込んでいくポンプです。
汚水受け
ホッパやシュートを洗浄したときの汚水を受けるバケツや金属製の容器を指します。洗浄した汚水は外に出されずにここに貯められるようになっています。
PTO装置
「パワーテイクオフ装置」のことです。エンジン回転軸の回転力を油圧ポンプに伝達することができます。走行している状態に関係なく油圧ポンプを駆動や停止できるクラッチが備えられています。
油圧装置
- 作動油タンク
- 油圧ポンプ
- バルブユニット
- 油圧モーター
- オイルフィルター
などによってできている一連の装置のことを指します。
油圧ポンプから出てくる圧力をバルブユニットで調節することで油圧モーターに送り込んでミキシングドラムの回転数や回転方向を制御することができます。
運べるものは生コンクリートだけではない!
基本的にミキサー車は生コンクリートを運搬する専用車ですが、緊急時に消火用水を運ぶ水運搬用の車両としても使用することができます。ミキサー車で運んだ水をポンプ車が消防に使用するという使用方法となります。
まとめ
生コンクリートを運ぶというかなり特殊な使用目的となるのがミキサー車です。構造も複雑になっていますので、まずは仕組みを知ることから始めていきましょう。