ユニックの吊り上げ荷重が3t未満なのはなぜ? 車両選びの参考にしたいユニック車の特徴
ユニック車の多くは、その吊り上げ荷重が2.63トンから2.93トンと、3トン未満となっています。ではなぜそうなっているのでしょうか。
ここではクレーン等安全規則をみながらその理由について紹介していきたいと思います。
Contents
ユニック車の吊り上げ荷重
ユニック車のサイズ
2トンユニック車とは車両総重量が5トン未満、最大積載量が3トン未満という小型トラックにクレーンが搭載されているもののことを指します。
もちろんユニック車には小型トラックだけでなく、中型や大型のトラックもあります。
ユニック車の吊り上げ荷重
トラックのサイズにはさまざまな種類があるのですが、そのクレーンの吊り上げ荷重は2.2~2.6トンほどのものが多く、簡易クレーンであれば吊り上げ荷重が2トン未満のものも多くあります。
これは「クレーン等安全規則」が大きく関係しています。
クレーン等安全規則
クレーン等安全規則とは
クレーン等安全規則とは「クレーン、移動式クレーン・デリック、エレベーター、簡易リフト、免許及び教習、床上操作式クレーン運転技能講習、小型移動式クレーン運転技能講習及び玉掛け技能講習」などについて安全についての基準を定めた厚生労働省令のことを指しています。
この規則は労働安全衛生法に基づいて定められたものとなっています。
クレーン等安全規則と吊り上げ荷重
ユニック車は日本では「古河ユニック」「タダノのカーゴレーン」のどちらが主流となっていますが、どちらの吊り上げ荷重も「2.63~2.93トン」の間に集中していることがわかります。
これは吊り上げ荷重が3トンを超えるとクレーン安全規制が急激に厳しくなることが大きく関係しています。この際に行わなくてはいけない手続きが増え、必要な書類も一気に増えるのです。
製造者は製造許可、申請、審査、許可が必要になり、使用者は設置届け、落成検査、検査証の受け取りなどが必要となってきます。
これだけ手間が増えるのにも関わらず実際に一度に3トン以上の荷物を吊り上げる機会はそれほど多くありません。そのため最大吊り上げ荷重を3トン未満にすることが多くなっているのです。
ユニック車の吊り上げ荷重と免許・資格
吊り上げ荷重5トン以上のクレーン
吊り上げ荷重が5トン以上のクレーンを操作するためには「移動式クレーン運転士免許」が必要になります。これは以下の法令が根拠となっています。
- 「労働安全衛生法 第61条ー1よりクレーン等安全規則第68条」
事業者は、令第20条第7号に掲げる業務については、移動式クレーン運転士免許を受けた者でなければ、当該業務に就かせてはならない。
というものです。この法令に従って免許が必要となっているのです。
吊り上げ荷重1トン〜5トン未満のクレーン
上記の「労働安全衛生法 第61条ー1よりクレーン等安全規則第68条」には続きがあります。それが以下の文章です。
「但し、つり上げ荷重が1トン以上5トン未満の移動式クレーンの運転の業務については、小型移動式クレーン運転技能講習を修了した者を当該業務に就かせることができる。」
つまり吊り上げ荷重が1トン以上5トン未満の移動式クレーンに関しては「小型移動式クレーン運転技能講習」を受けていれば良いということになります。
吊り上げ荷重0.5トン〜1トン未満のクレーン
吊り上げ荷重が1トン未満のクレーンを操作する際には「小型移動式クレーン特別教育」を受けていれば可能となっています。
しかし実際の工事現場などでは1トン未満に限定されると仕事の幅がかなり狭くなるために、ほとんどの人が小型移動式クレーン運転技能講習を受講します。
特別教育しか受けていない人は仕事をさせてもらえないことも多くあります。そのため特別教育は実施している機関も少ないというのが現状です。
ユニック車の特徴と選び方
ユニック車の名称
「ユニック車」と一般的に呼ばれてはいますが実際には「ユニック」とは「古河ユニック株式会社」のクレーン車のことを指します。
もう一つの大きなシェアを持っている会社に「タダノ」があるのですが、こちらは「トラッククレーン」「カーゴクレーン」と呼ばれています。
しかし実際には「ユニック車」という名称があまりにも広まっているためにこちらが通称となっている現状があります。
クレーンの種類
ユニック車には大きく3つの種類があります。それは「クレーン付き」「簡易クレーン」「ハイジャッキ」というものです。
簡単にいえば「大きなクレーンが付いているもの」「荷台に小型のクレーンが付いているもの」「長いハイアウトリガーがついているもの」の3つです。
ブームの長さ・伸び方
ブームはユニック車の最大の特徴とも言えるクレーンの竿の部分のことを指します。種類によっては何段階にも伸びます。
この長さによって吊り上げられる荷物の重さが変わるのですが、伸ばしすぎると適切に使えなくなる場合があります。
長ければ良いというものではなく、吊り上げる荷物に適したものを選ぶことが重要です。
ハイジャッキとは
クレーンで重い荷物を吊り上げると車体のバランスが崩れて横転してしまうことがあります。
それを防ぐためにアウトリガーを使用したユニック車です。平らな地面に設置してトラックを固定します。
まとめ
ユニック車はさまざまなサイズがあるのですが、吊り上げ荷重は3トン未満になっていることが多くなっています。
実際の現場でもそれくらいの荷物を吊り上げることが多くなっているということを踏まえて必要な免許や資格を取得していくようにしましょう。