トレーラーの左バックがうまく出来ない方にトレーラー運転のコツをご紹介!
運送業界にいると、「トレーラーの運転は普通のトラックに比べて難しい」という声をよく耳にします。その中でも特に難易度が高いと言われがちなのが左バックですよね。
トレーラーの左バックはなぜ難しいのでしょうか。また、うまく操作するためのコツはあるのでしょうか。
今回はトレーラーの運転が上達する方法を知りたいというドライバーの皆さんのために、トレーラーで左バックする際の注意点を紹介します。
Contents
トレーラーの左バックがうまくできません
まずはトレーラーの左バックが難しいと言われる理由を確認しておきましょう。
トレーラーは折れる
そもそも、トレーラーは普通のトラックとは構造からして異なります。トラックではキャブと荷台が一体化しているのに対して、トレーラーはトラクターで台車をけん引するという設計となっています。
このことは、バックのときに必ず左右どちらかに車体が折れることを意味します。
トラクター部分と台車部分との間にできる角度のことを「折れ角」と呼ぶのですが、この折れ角を調整するには経験が必要です。また、折れ角はそのまま死角となることにも注意しなければなりません。
トレーラーは後ろが見えない
極端に後方確認がしづらいことも、トレーラーでの左バックを困難にしている要因の一つと考えられます。トレーラーは車体そのものが大きく、しかも日本製の車両は運転席が右にあります。
そのため、右バックの場合であれば窓を開けて顔を出すことで目視できるのですが、左バックだと助手席側からでなければ見えません。
左後方はドライバーにとって死角なのです。左バック時における運転席からの後方確認はミラーだけが頼りです。
セミトレーラーとフルトレーラー
トレーラーには大きく分けてセミトレーラーとフルトレーラーの2種類があります。ハンドルの切り方が違うので、それぞれ確認しておきましょう。
セミトレーラーのハンドルの切り方
セミトレーラーとはカプラーでトラクターと荷台車とを連結した車両のことで、日本では最も一般的に使われているトレーラーです。
多くの人がトレーラーと聞いてまず思い浮かべるのはこの形式でしょう。セミトレーラーでバック中にハンドルを左に切ると、トラクターの前部分はもちろん右を向きます。
しかし、トラクターの後部分は左を向きますから、そこに連結されている荷台車の頭も左を向いてしまいます。
つまり、通常であれば曲がりたい方向にハンドルを切ればよいところ、セミトレーラーの場合は逆にハンドルを切らなければならないのです。トレーラーに乗り始めの人が最も戸惑うポイントであると思われます。
フルトレーラーのハンドルの切り方
台車の荷重の大部分が台車自身にかかる構造のトレーラーのことをフルトレーラーと呼びます。トラクター側にも荷台を備えているため、外観からもセミトレーラーとは区別できます。
重要なポイントは、フルトレーラーにはジョイントが2箇所あるということ。関節が2点ある場合、バック時にハンドルを逆に切る必要はありません。曲がりたい方向に向かって回せばよいのです。
セミトレーラーからフルトレーラーに乗り換えた人が混乱しやすいところですので、注意してください。ただし、フルトレーラーの中にもドーリーをもたない車種があります。
このタイプのフルトレーラーでは逆ハンドルになりますので、自分の乗るトレーラーがどんな特徴をもっているのかはしっかりと把握しておかなければなりません。
トレーラー左バックのコツ
ここからは、トレーラーで左バックを行う場合のコツについて紹介していきます。
まずは周囲の安全確保
何より重要なのは周囲の安全を間違いなく確保しておくこと。障害物がないかどうか、天井がある場合は高さ制限に引っかからないかどうかは確かめておきましょう。
荷物を受け取る側も事故が起こることは望みませんから、必要であれば誘導を頼んでも構いません。基本的に断られることはないはずです。
直進で下がり角でいったんストップ
直進で下がっていき、トレーラー後部が駐車スペースの進入角に差し掛かるあたりで一度ストップしましょう。
折れ角や進入角度のチェックを行い、状況を把握してからバックを再開してください。
ハンドルは何度も切り返す
トレーラーのバックで一発で駐車スペースに入れられるということはありません。何度も切り返しながら少しずつ入れていくのが基本となります。
ハンドルは何度切り返しても構いません。ときにはトレーラーから降りて、死角となっている車体後部を目視確認することも大切です。
折れ角がキープできたらゆっくりバック
駐車スペースに対してトレーラーの車体が平行になったら、バックしながら微調整していきましょう。
なぜ「バックしながら」なのかというと、トレーラーではブレーキを踏んだ状態でハンドルを切ることができないからです。
タイヤの角度を調整するためには車を動かしていなければなりません。うまく調整できなかったときは一度前に出してやり直すことも必要です。
トレーラーの左バックを上手にするコツ
よりスムーズに左バックを行うためのコツ、運転技術をアップさせるために意識すべきポイントなどを紹介します。
先輩ドライバーのテクニックをまねる
ベテランのトレーラー運転手の助手席に乗り、いつハンドルを切るのか、どうやって安全確認を行うのかなどの一挙手一投足を観察することが、運転の上達への近道です。
運送会社では研修の一環として横乗り期間を設けていることも多いですから、そういったチャンスを活用してください。
バックモニターをつける
トレーラーの後端にカメラを設置するのも一つの方法です。カメラで撮影した様子を映し出すモニターを運転席に設置しておけば、本来死角となる後方を運転席に座ったまま確認することもできるようになります。
バックモニターに関しては、全日本トラック協会や都道府県トラック協会が助成金を出している可能性もあります。
制度の対象になっているか、応募期間はいつまでかなど調べてみると、お得に導入できるかもしれません。
なるべく右バックになるよう運転
左バックがやりづらいのはドライバーの運転技術というよりも、トレーラーの構造上どうしてもつきまとう問題です。
そもそもできるだけ左バックを行う必要のない状況になるよう工夫するのも手。駐車場にスペースの余裕がある場合などに備えて、右バックで駐車できるようにしておくとよいでしょう。
とにかく慣れるしかない
トレーラーの運転は結局のところ車体感覚に慣れることが一番肝心です。スペースのある場所で練習したり、アプリなどでシミュレーションを行って感覚を掴んでおきましょう。
YouTubeなど動画サイトを探してみると解説動画が上がっていますから、それを参照するのもよいでしょう。
まとめ
トレーラーはその構造上どうしても左バックが難しいですが、一度感覚を掴んでしまえば苦労することはなくなります。
本記事で紹介したコツを意識して、運転に慣れていきましょう。