トラックを運転する場合の心構え!プロドライバーとしての心得とは
トラックは物流業界において欠かせないものですが、大きく重量のあるものですので事故を起こした際には大事故に発展することが多くあります。
そこでここではトラックを運転するときの心構えについて紹介していきたいと思います。
Contents
トラックを運転する場合の心構え
トラックドライバーはプロフェッショナル
大型トラックはその大きさと重量から使い方次第では凶器となります。重量のあるトラックがスピードにのって衝突すると大事故になるからです。
そのためまずドライバーが心掛けないといけないのは「安全運転」です。しかし大型トラックは運転席の高さや車幅の大きさから普通車とは違っているために運転はかなり難しいものです。
それだけに運転のプロである自覚を持って緊張感をもって運転することが重要なのです。
事故の被害は深刻
トラックで事故を起こした場合は事故の規模が大きくなることが多くあります。もちろん人命が失われることもありますし、物損もかなりのものになるでしょう。
そして事業主、ドライバーは損害賠償請求をされることがありますし、ドライバーは仕事を失うという可能性も非常に高くなります。
冊子・トラックドライバーとしての心構え
トラックドライバーとしての心構えとは
トラックドライバーには最初に「トラックドライバーの心構え」という手帳が配布されます。
3つのポイント
- 「トラックドライバーとしての心得」
- 「トラックドライバーの遵守事項」
- 「体調と運転」
の3つを柱として構成されているもので、安全に運転を行うための基本事項がしるされています。
トラックドライバーとして勤務する人はまずこの手帳を熟読して、書かれている内容を守ることで健康管理や事故防止につなげていきましょう。
トラックドライバーとしての心得
トラックドライバーとしての使命
現在、人々が生活をする、仕事を行う、経済が循環していく際には物流はなくてはならないものです。
トラックが機能せずに物流が止まってしまうと、すべての店からは商品がなくなり、すべての工場には原材料が届かないことになります。
また製造された製品も運び出すことができません。このようにトラックドライバーはライフラインの一部であるとも言えます。
また、これらの日常業務に加えて地震や台風といった天災による緊急時には国や地方自治体の要請を受けて救援物資輸送を優先、迅速に行うという役割も果たしています。
1995年の阪神淡路大震災のときには緊急・救援物資輸送のために延べ4万台ものトラックが出動しました。
安全運転と環境配慮
トラックのなかでも特に大型トラックはその大きさと重量、積んでいる荷物の関係などの理由によって事故を起こした際には重大な事故につながりやすくなっています。
一年間の事業用トラックの人身事故1000件あたりの死亡事故件数を見ると大型トラックが36.2件、大型貨物車が14.8件でありトラックが大きくなるほど死亡事故になりやすい傾向となっています。
また、最近ニュースなどでよく見かけるのがバスやトラックのドライバーの「過労死」であったり、過労からくる「居眠り運転」による事故などです。
これは十分に休憩を取れないまま長距離運転を続けていたドライバーが運転に対する集中力が欠けてしまって重大な事故を起こしてしまうものです。
厚生労働省が提示している「4時間運転したら30分以上の休憩」のように決められた休憩をしっかりと取るということが重要です。
顧客から望まれていること
そして環境に関しても配慮が求められています。トラックによる輸送が物流業界の中心になっている日本ですが、トラックによる排出ガスによって大気汚染や地球温暖化の問題が発生しているということがあります。
環境配慮は事業者からも、荷受け主などの顧客からも懸念されていることで、排出ガス減少、燃料節約、事故防止などのためにエコドライブが求められています。
運転マナーと接遇マナー
顧客から求められているもののなかにドライバーの「マナー向上」というものがあります。昔のトラックドライバーは「がさつ」「乱暴」「怖い」というイメージがあると言われていました。
これは大型トラックなどで乱暴な運転をすると普通車よりも目立つだけでなく、事故の危険を伴うということが関係しています。
トラックドライバーは「思いやりを持つ」「相手に譲る」という姿勢で運転をすることを心掛けなくてはいけません。
大型トラックは運転席が高い位置にあるために意識していなくても「上から見下ろす」ようになってしまうこともあって知らず知らずのうちに威圧感を与えていることがあります。
それらも踏まえた上で丁寧な運転、丁寧な接客が求められているのです。最近では業界をあげてマナー向上に取り組んでいます。
トラックドライバーの遵守事項
乗務前後の点呼
ドライバーは乗務業務の開始前と終了時には点呼執行者や運行管理者から点呼を受けることが規則によって定められています。
始業前の点呼の際、点呼者はドライバーが疾病や疲労などによって安全な運転ができない状態ではないかどうかを判断します。
安全な運転を行うことができないと判断した場合は業務に就くことはできません。業務終了後の点呼ではその日の業務に関係する車や道路状況などについて報告します。
乗務等の記録
ドライバーは業務に就くと「氏名」「車のナンバー」「業務の開始時間と地点」「終了時間と地点」「休憩場所と時間」「積載状況」「乗務距離」などについて業務記録を残さなくてはいけません。
これが運行記録となります。車両によっては運行記録計の取り付けが義務付けられている場合もあります。
その場合は運行記録計によって運行データを記録することが必要になります。最近のデジタルタコグラフなどは自動的にデータを取得することができるタイプのものもあります。
日常点検の励行
ドライバーは業務開始前や終了後にトラックの点検を行うことが推奨されています。この点検によって思わぬ不備が発見されることもあるのです。
毎日行うのは面倒という思いがあるかもしれませんが、安全運転を行うためには必要なことなのです。
交通ルールの遵守
当然ですが交通ルールは遵守しなければいけません。信号確認、スピードの確認はもちろん、トラックに過積載を行っていないか、積み荷は固定されているかといったことまでしっかりと遵守していきましょう。
体調と運転
健康保持
ドライバーは安全に運転業務を行うためにも健康を保持しなければいけません。まずは規則的な生活リズムを維持することです。
長距離ドライバーなどは食事や睡眠が不規則になりがちですが、できる限りしっかりと休憩を取り疲労が溜まらないようにしましょう。
健康診断・運転適性診断の受診
ドライバーにとって健康診断と運動は健康維持のために欠かせないものです。そのためドライバーは労働安全衛生法によって3種類の健康診断を受ける必要があります。
「雇用時の健康診断」「定期健康診断」「特定業務従事者健康診断」です。
長距離ドライバーなどは1年に一度行われる定期診断を必ず受けることに加えて、深夜に業務にあたる人が対象となっている特定業務従事者健康診断も合わせて受けていきます。
これは半年に1度、定期診断と同じ内容で行われるものです。
疲労について
ドライバーは同じ姿勢で長時間運転することがあるために腰や肩を痛めやすいだけでなく、エコノミー症候群などにもなる可能性が高くなっています。
それらを防止するには日ごろから適度な運動をすることに加えて、サービスエリアなどで休憩をした際に、軽く体を動かしたりストレッチをすることが推奨されています。
肩をゆっくりと回す、伸びをするといった軽い運動を行いましょう。
飲酒運転について
あまりにも当然ですが飲酒運転は論外です。ただし飲酒した直後でなくても一般的にはある程度の飲酒を行うと血中アルコール値は8時間程度しなければ平常値には戻りません。
勤務開始8時間前には飲酒をしないようにしなくてはいけません。
近年飲酒運転に関しては罰則はますます強化されています。
- 「酒酔い運転」は5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金で罰則点数は25点ですので一発で「免許取り消し」となります。
- 「酒気帯び運転」は3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金で「呼気中アルコール濃度0.25mg/r以上:違反点数13点で、免許停止(90日)」 、「呼気中アルコール濃度0.15mg/r以上0.25mg/r未満:違反点数6点で、免許停止30日)」となります。
安全教育は会社の義務
ドライバーを雇用している事業者にはドライバーに対しての教育義務が課せられています。安全運転研修などを行って、意識を高めて事故を未然に防ぐ努力が求められているのです。
まとめ
トラックは物流において重要な役割を果たす車両です。それだけに安全運転意識は常に高く持っておかなければいけません。しっかりとした心構えを持って運転をすることで事故のない業務にしていきましょう。