大型トラックのリミッター解除はデメリットが多い?注意点について解説
大型トラックで高速道路を走行していると、なかなかスピードが上がらずストレスを感じることがありますよね。
これは、大型トラックにスピードリミッターが搭載されていることが原因。このリミッターを解除することができればスピードを出せるようになると思われますが、実際にそんなことが可能なのでしょうか。
今回は大型トラックのリミッターについて、解除は可能なのか、もし可能だとしても違法性はないのかなど詳しく紹介していきます。
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スピードが原因の事故は重大事故に
自動車で衝突事故が起こった差異の衝撃は、そのとき出していたスピードが速ければ速いほど大きくなります。したがって、スピードの出しすぎが原因の事故は重大事故になる可能性が高いと言えます。
また、事故時の衝撃は質量にも比例するため、車体が大きいうえ大量の荷物を積載して走る大型トラックでは特に注意が必要。
重いものが高速で衝突すればそれだけ事故の規模も大きくなりますし、荷物が散乱するなどして二次被害につながるおそれもあります。大型トラックでスピードを出す行為には常に危険がつきまとっているのです。
大型トラックの最高速度は90㎞!
大型トラックに取り付けられているスピードリミッターは、速度上限を時速90kmに設定されています。時速90kmを超えるとリミッターによる速度制限がかかって、それ以上スピードが上がらなくなるわけですね。
これは、道路運送車両法によって大型トラックの速度の上限が定められているためです。もっとも、すべての大型トラックのスピードメーカーが同一の性能というわけではありません。
リミッターの装着自体は義務づけられていますが、リミッターそのものにはメーカーやモデルによって若干の違いがあるため、実際に出る最高速度までがまったく同じにはならないのです。
このことが原因で、高速道路などで大型トラックが併走するような状況が生じています。
スピードリミッターの解除は可能だが…
結論を言えば、スピードリミッターを解除することは技術的には不可能ではありません。
スピードリミッターカットコントロールという部品があります。その名のとおりスピードリミッターをカットするもので、これを装着することによって制限速度を超えて運転することができるようになります。
ただし、最近の大型トラックにはデジタコが搭載されていることもしばしばです。
デジタコが搭載されている車両を運転する場合、スピードの変化や走行時間と言った運行記録が逐一記録されてしまいます。つまり、制限速度以上で運転した事実を会社に隠すことができないわけです。
このように、リミッターを解除すること自体はできますが、それを行うには大きなデメリットが伴います。決しておすすめできる手段ではありません。
デメリットの多いリミッターの解除
スピードリミッターを解除するデメリットについて、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。
4-1.罰則を受ける
先述のとおり、スピードリミッターの装着は法律によって義務づけられたもの。義務であるということは、違反すると罰則が適用されるということでもあります。
スピードリミッターを解除した場合、業者に対して6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
そしてトラックの所有者に対して保安基準をクリアするために必要な整備を行うことが命ぜられ、15日以内に整備を行わなければ50万円以下の罰金が科せられるのです。
また、ドライバー本人も罰せられます。こちらの罰則の内容は3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金というもの。
重大事故を引き起こす可能性がある話だけあって軽い罰ではなく、これだけでもリミッター解除には手を出さないほうがよいとわかるのではないでしょうか。
不法改造車扱い
上記の罰則から理解できるように、スピードリミッターの解除は不法改造です。したがって当然のことながら、そのままでは車検を通ることができません。
車検でのスピードリミッターの検査は時速40kmで行われるため、実際にはリミッターカットしているかどうかの検査が行われることはないのですが、
その代わりにスピードリミッターのステッカーもしくは「速度抑制装置装着証明書」を確認してもらう必要があります。
いずれにしても、仮にスピードリミッターを外したとしても車検時には元の状態に戻さなければならないということです。
燃費の低下
スピードリミッターを装着して一定の速度で走行するということは、エンジンの回転数をキープしたまま走ることを意味します。これがどういうことかというと、燃料の消費に無駄がなくなるということです。
裏を返せば、リミッターを解除して最高スピードを上げる行為は、車両の燃費を低下させることに繋がるわけです。
排気ガス量増加
リミッターを解除すると燃料の消費量が上がります。燃料を多く燃やすということはそのぶん排気ガスを排出するということですよね。
スピードリミッターを解除するとCO2の排出量が増加してしまうのです。
不法改造車として通報の可能性
スピードリミッターの取り付けに関しては、日本トラック協会も注意喚起を進めています。不正改造車を発見した場合、ナンバーと場所を控えてトラック協会に通報することができるのです。
したがって、スピードリミッターを解除して走行すると、目撃者に通報されるおそれがあります。
通報されると業者およびドライバーに対して前述の罰則が適用されます。
リミッター解除ではなく余裕のある運行を!
トラックドライバーの使命はスピードを出して走ることではなく、あくまでも荷物を無事に目的地まで届けることです。
スピードを出せずにストレスを感じるのは、スピードを出さなければ間に合わないような状況を作ってしまっている証拠。
余裕のある運行を徹底し、そもそもリミッター解除が必要となる状態に陥らないよう心がけることが大切です。
まとめ
スピードリミッターを解除することは可能ではありますが、それは周囲の迷惑や危険を顧みない危険な行為であり、発覚すると法令違反として罰せられます。
プロのトラックドライバーたる者、道路のルールを守って安全な運転を行いましょう。