荷姿とは?トラックドライバーなら押さえておきたい梱包のアレコレ
物流業界で働く人にとって荷物の荷姿がとても重要なものという事は分かっていると思いますが、これから物流業界を目指そうと思っている方や初心者の方にはピンとこない部分もあると思います。
そこでこの記事では物流においてとても重要な荷姿について詳しく解説していきたいと思います。
Contents
物流用語「荷姿」
荷物の姿
物流業界でいう荷姿とは文字通り、その荷物の姿、形状のことであり、さまざまなものがあります。
そして荷姿が良いというのは客観的にみて、形が綺麗でしっかり梱包されており、運搬しても崩れにくそうな荷物をいいます。
逆に荷姿が悪いというのは、荷物の形が良くなかったり、梱包がしっかりされてなく、そのままで配送すると荷物が崩れてしまいそうなものをいいます。
梱包された形状を指すことが多い
トラックで運ぶ荷物の場合、近年の物流ではほとんどが、パレット単位である程度まとめられて梱包されている場合が多いです。
ですので、その梱包された状態をもって荷姿と呼ぶ事が多く、また、大きな機械なども傷がついてはいけないので何らかの梱包があるのが一般的です。
ただ、バラ積みなどの場合は荷物一個、一個の事を似姿という場合もありますし、荷物を荷台にぎっしり積み込んだ状態を似姿という場合もあります。
荷姿で判断できること
トラックの種類
その似姿によって適当なトラックは変わってきます。例えば鋼材などの鉄骨を運ぶ場合は、クレーンを使って積み込みを行うので、平ボディが向いていますし、
荷物が1パレット単位でパレットに積んであって、リフトで積み込み、荷降ろしするものは、ウイング車が向いています。
また、宅配の荷物やカゴ車に積んである荷物を運ぶ場合は後ろが観音開きの箱車と呼ばれるトラックが向いています。
住宅やビルの建築に使う足場などはその荷姿から、ユニック車で荷物の積み降ろしをするのが向いています。
積載数
荷姿が大事なのは、それによって積み込みできる積載数も違ってくる事で、トラックの荷台の広さや高さによって積める荷物の積載数も変わってきますので、荷姿は特に重要になってくるわけです。
例えばパレットに積んである荷物の荷姿がしっかりしていて、崩れにくそうな荷物であれば、2段積みする事によって積載数を減らす事ができます。
これが、荷姿が悪ければ、二段積みなどができないため積載数が増えて、荷物の積み込みに苦労する事になってしまいます。
適任ドライバー
荷物の荷姿によって適任のドライバーも変わってきます。パレットでの積み降ろしが必要でドライバーがそれを自分で行う場合、
フォークリフトの資格が必要になりますし、ユニックが必要な場合は玉掛け、クレーン資格保有者が適任という事になります。
物流業界では扱う荷物の種類や似姿によっては資格がないと扱う事ができない場合もあるので、そういった部分は事前に確認しておく必要があります。
荷姿・梱包の種類
パレット
ダンボールなどで個装された貨物をパレットに積み付けるものになります。そのパレットですが材質はさまざまで、木材、プラスチック、スチール、アルミ、強化ダンボールなどがあります。
最近では衛生面の関係で木材のパレットは減りつつあり、プラスチック製や強化ダンボールのパレットが増えてきています。
1,100x1,100mmのサイズが多く使われていて、積載する製品に合わせたサイズも作られています。
積み付けた製品はストレッチフィルムやP.Pバンドなどで固定して荷崩れを防ぎます。近年主力になりつつある似姿、梱包の種類になります。
スキッド
木箱などのように周囲を覆わずに腰下(スキッド)に製品を固定しただけの簡素な梱包方法です。
木製やスチールにより腰下を作成しますが、輸出梱包においてはコンテナとの組み合わせで、コンテナを外装容器と考えます
この方法では梱包費の低減が図れる一方で複数の製品を同梱する事が難しく、荷物の上積みもできないため積載効率が悪くなる点や、製品保管時の破損が起きやすいなどのデメリットがあります。
密閉箱
工作機械や産業機械、また機械設備などを梱包するのにもっとも広く用いられている荷姿です。密閉構造のため、防水効果が高く、また盗難防止の効果もあります。
現在では外板には合板が用いられる事が多く、大型の重量品にも対応できるメリットがあります。
また、規格がしっかりしていて加工がしやすく、短納期、小ロット対応が可能な点もメリットになっています。輸出品の大型荷物の梱包でよく用いられる梱包です。
透かし箱
透かし箱は別名クレート梱包ともいわれていて、密閉箱とともに、工作機械、産業機械、機械設備などを梱包するのに幅広く用いられている似姿になります。
この似姿は、主に内容品に防水を必要としない場合に多く使用され、大型重量品にも対応する事ができます。
この梱包は密閉箱と同様に加工がしやすく短期対応が可能で小ロット対応で密閉箱よりコストが抑えられるので多く利用されています。
バリア梱包
主に輸出梱包において輸送中に製品のサビの発生を防ぐために行う内装方法です。製品をバリア材という湿気を通しにくい材料で完全に覆って、さらにバリア内の空気を抜いて真空状態にして内部の水分を排出します。
内部が陰圧になるので、時間の経過と共に徐々に湿気は侵入しますが、内部に乾燥剤を入れることにより湿度が上昇する事を防ぎます。このバリア梱包はパレット梱包、スキッド梱包と組み合わせる事もあります。
緩衝梱包
振動にデリケートな製品に対して輸送中の振動や衝撃を和らげるための梱包方法です。包装容器の内部に緩衝材を置くなどして衝撃を吸収します。
代表的な緩衝材を紹介しますと気泡シート(プチプチ)や発泡スチロール、発泡シート、片面ダンボールなどがあります。
緩衝材の種類によって衝撃に対する耐久性も違っていて気泡シートやダンボールのように一度衝撃を受けて潰れてしまうと元に戻らず衝撃を吸収できなくなるものもあるので注意が必要です。
求人情報では荷姿もチェック
物流企業が扱っている荷物の種類や荷姿は入社してみないとわからない事が多いですが、なかには求人情報に記載されているものもあります。
その会社が扱っている荷物の種類や荷姿によって、積み込みの手間や大変さ、身体に対する負担度などがある程度予想できます。
例えば求人情報に大型の荷物をパレットやスキッド、もしくは箱で運ぶといった記載があった場合、当然リフトを使って荷降ろしする事になりますので、体力はさほど必要なさそうな事がわかります。
まとめ
この記事ではさまざまな荷姿を紹介する事で、私たち物流業界で働く者にとって、荷姿がとても重要なものだという事を解説してきました。
運転手、リフトマン、配車係、事務職など、この業界に関わっている方は、貨物を良い荷姿でお客様に届ける責任があります。
その事をしっかり胸に刻んで頂いてプロの物流マンとして日々の業務に励んで頂ければと思います。