ダンプ過積載問題が生じるのはなぜ?ダンプの種類別積載量と過積載の罰則
ダンプカーなどのトラックでは積載量を増やすだけ増やした方が運搬効率が上がると考えることがあり、最大積載量を超える「過積載」の状態になることがあります。
しかしこれは安全上にも問題がありますし、法令違反にもなる行為です。それぞれのダンプの種類によって積載量が違っていますので、ここではそれらについて紹介していきたいと思います。
Contents
ダンプ過積載問題の背景
過積載とは
「過積載」というのは車両ごとに決められている最大積載量を超える荷物を積んで走行することで、道路交通法違反となるものです。
過積載状態での走行は、そのトラック自体が性能を超えて積載しているために危険になるというだけでなく、走行している道路や橋などを重さによって傷めてしまうということもあります。
また、振動や騒音が大きくなることで周囲にも迷惑をかけるということにもつながります。
また、過積載の状態では積み荷が安定しないということもあって、走行中に落下してしまったりすることで事故を引き起こす原因にもなってしまっています。
運送業界の競争が激しくなっているということもあって警察の検問なども厳しくなっています。
ダンプが過積載になりがちなのはなぜ?
まず理由として多いのが少ないトラックで多くの荷物を運搬することで正当ではない利益を出そうとするものです。
決められた積載量を超えて運搬しているために運送会社としては不当に利益を得るということになります。
過積載によって運賃を抑え、他の運送会社との競争に勝とうとするということもあります。もう一つは荷主がそういった指示を出す場合です。
荷主が正規の注文をすることで運賃が高くなってしまうことを避けるために運送会社やドライバーに過積載を指示するというパターンです。
もちろん本来は断るべきことなのですが、仕事の依頼主からの要求ということもあって断り切れずに行ってしまうということがあるのです。
過積載はなぜ問題視されるのか
そもそも最大積載量はトラックの性能に合わせて設定されており、そこまでであれば安全に運搬ができると定められているものです。
つまり過積載の状態では安全が確保されないということになるのです。
過積載の状態ではアクセルやブレーキのかかり方も正常ではなくなります。エンジンへの負担も大きくなり、部品の劣化にもつながります。
また、道路や橋を傷めてしまうということもあり、環境への影響もあります。そして荷物が大量に積まれていることから事故を起こしたときには被害が大きくなるという傾向もあります。
ダンプの種類と積載量
小型ダンプ
全長 | 全幅 | 全高 | 最大積載量 | 車両総重量 |
4.7m以内 | 1.7m以内 | 2.0m以内 | 3.0t未満 | 5.0t未満 |
ダンプカーの中でももっとも小さい小型ダンプでは一般的に2~3tくらいの積載量となっています。街中を走るのに便利なタイプで利用されている数も非常に多いのが特徴です。
中型ダンプ
全長 | 全幅 | 全高 | 最大積載量 | 車両総重量 |
12.0m以内 | 2.5m以内 | 3.8m以内 | 6.5t未満 | 11.0t未満 |
最大積載量は6.5tであるものの、積載量が4~5t程度のものも4tダンプと呼ばれたりすることもあり、定義があいまいな部分があるのが中型ダンプです。
適度な運転のしやすさとある程度の積載量を誇っているために使い勝手が良い大きさとして多く利用されています。
大型ダンプ
全長 | 全幅 | 全高 | 最大積載量 | 車両総重量 |
12.0m以内 | 2.5m以内 | 3.8m以内 | 6.5t以上 | 11.0t以上 |
最大積載量6.5t以上のものを大型ダンプと呼び、10tダンプと呼ばれることもあります。最大積載量が9~11tのものも10tダンプと呼ばれ、大規模な建設現場や工事現場などで多く利用されています。
これらの積載量はあくまでも例です。メーカーや車種によって最大積載量は違ってきますので、正式にその車両が積載できる数値は車検証などに記載されているために必ずそれを確認しておきましょう。
土砂禁ダンプ
土砂禁ダンプはその名前の通り、土砂を運搬することが禁止されているダンプです。
横や後ろの煽りが高くなっており、多くの荷物を積載できるようにはなっていますが、そこに比重の重い土砂を積んでしまうと過積載になるので禁止されています。
実際には大きいものの比重が軽いプラスチックやダンボール、ウッドチップなどを運ぶのに利用されるものとなっています。「深ダンプ」と呼ばれることもあります。
過積載の罰則と責任の所在は?
ドライバー
過積載のダンプカーを運転していた場合、「知っていた、知らなかった」は関係なくドライバーは罰せられることになります。
超過重量が最大積載量の5割未満の場合は「反則点数1点と反則金3万円」が科せられ、5~10割の場合は「反則点数3点と反則金4万円」、10割以上の場合は「反則点数6点と10万円以下の罰金」が科せられます。
また、大型ダンプで10割以上の過積載を行っていて、悪質だと判断された場合は「6ヶ月以下の懲役、100万円以下の罰金」ということもあります。
事業主
過積載で違反したドライバーが所属している運送会社にも罰則があります。
その事業所の「運行管理者資格者証」の返納命令が出され、資格が取り消されてしまうのです。場合によって事業がすぐに行えなくなることもあります。
荷主
過積載であることを知っていながら容認した場合は「協力要請書」や「再発防止命令」が出されることになります。
荷主が過積載を指示した場合など悪質だと認められた場合は罰金刑や懲役刑が科されるということもあります。
事故事例に見る過積載の危険性
過積載による衝突エネルギーの増加/学生死亡
平成24年3月29日に中型トラックがコンビニの駐車場でバックで駐車しようとした際に車止めを超えてそのまま後方の壁に衝突、その際に車と壁に挟まれてアルバイトの少年が死亡した事故です。
この事故ではトラックは最大積載量の3.4倍を超える積載をしており、裁判所ではその過積載のために衝突エネルギーが増加したためにアルバイトが死亡に至ったと認めました。
過積載でバランスを崩し横転/3人死亡
この事故では最大積載量29tであった大型トラックに37tもの鉄くずを載せて走行しており、左折時に横転して対向車線の軽乗用車を下敷きにして3名を死亡させました。
最大積載量を8t超えていたことが車両のバランスを崩したと考えられています。
ダンプ過積載を予防するには
ダンプの使用用途を守る
まずダンプの使用用途を守る、最大積載量を守るということがもっとも重要です。深ダンプ、土砂禁ダンプに目いっぱい土砂を積載したりすると間違いなく過積載となります。
土砂禁ダンプには土砂を積まない、それぞれの車両の車検証に記載されている最大積載量を守るということを徹底しましょう。
積載量の目視・チェック
ある程度経験がある人であればはっきり計量しなくても荷台を見れば、ある程度の重さは推測ができます。
見た目から「積み過ぎ」と判断されるようなものは計量しなおす、運転させないということをしなければいけません。まずは見た目から過積載になっていないかどうか判断していきましょう。
自重計/トラックスケールを利用する
トラックには積載重量を計量するために荷台の下に自重計が設置されています。この自重計を利用することで積載重量が確認できるようになっているのです。
確実を期するためには必ず重さを量るということが重要なのです。
まとめ
過積載は安全運転ができなくなって事故につながるということがあるだけでなく、法令違反でもあり厳しい罰則があります。必ず最大積載量を守って運搬を行うようにしましょう。