運送委託契約書の書き方をわかりやすく説明します!契約書を結ぶまでの交渉のコツ
運送委託契約書とは、貨物の数や個数、運賃、支払い方法や支払期日などを定めるものです。
フォークリフトの操作やラベル貼りなど、約束にない業務を要求されることや口約束のみで契約をして後でトラブルになるということがあります。
そこでここでは「運送委託契約書」について紹介していきたいと思います。
運送委託契約書に書くこと
運送日時
まずは運送日時です。
- 「いつ荷物を引き受けて」
- 「いつ荷物を届けるのか」
ということです。口約束の中には
- 「だいたいで」
- 「いつもの通りで」
- 「できるだけ早く」
など曖昧なものが多く、届けた日時によっては予定よりも遅いということで運賃が支払われないといったトラブルが起こることもあります。
引き受けたり届けたりする日時をはっきり記載しておくということが基本となります。
貨物の品名・個数・重量
運ぶものの「名称・個数・重量」をはっきりさせておくことも重要です。
ここが曖昧になってしまうと
- 運ぶものが曖昧になる
- 個数が曖昧になる
- 重量が曖昧になる
など過積載などを起こす可能性があります。とにかく曖昧な部分をはっきりさせるということが重要です。
運賃と支払い方法
- 運賃がいくらなのか
- 支払いはどうやって行うのか
- いつが締め日で支払いなのか
といったことをはっきりさせておく必要があります。
特に支払いに関しては会社によって締め日や支払日が違います。また、
- 現金での振り込みなのか
- 小切手なのか手形なのか
- 手形の場合は期日はいつなのか
ということもはっきりさせておきましょう。
運賃以外のコスト・費用
荷物の重量以外のコストに関してどこまで認められるかということもあります。
急激な燃料費の値上がりや高速道路の利用などのコストに関して
- 必要経費として認められるのか
- それらをすべて含めた料金なのか
ということもはっきりさせておきましょう。
高価な貨物の種類と価格
精密機器や宝石類、美術品など高額な荷物を運ぶ際に
- 「何を運んでいるのか」
- 「どれくらいの価値があるものなのか」
- 「保険に加入しているか」
ということも確認が必要です。特に宝石類などは重量が少ないため、単純に重量だけで料金を定めると非常に料金が安くなります。
その割に何かあったときのリスクは非常に大きなものになりますのでしっかりとそれに相応した料金を設定する必要があります。
積み込み・積み下ろし作業の有無
単純に「運ぶ」という契約をしただけでは荷受け場での積み込みや積み下ろしの作業を誰がやるのかが明確にはなりません。
会社や倉庫などの担当の人がフォークリフトなどを使って積み込みをしてくれると思ってたのに、実際にはドライバーが積み込みをしなければいけなかったということもあります。
もちろん時間や手間がかかることですので、これも先に明確化しておきましょう。
附帯業務の委託
運送の附帯業務があるのかどうかも確認しておきましょう。
- 仕分け
- 保管
- 検品
- 梱包
- ラベル貼り
などをさせられるとそれだけドライバーの負担が増えますし、時間も余計にかかることになります。
運送状の作成年月日など
その運送に関する運送状の作成年月日などをいつにするのかということをはっきりさせておくことも重要です。
その他
その他、気になる部分やどちらの責任になるかわからないことなどは必ず確認しておきましょう。ポイントは「曖昧にしない」ということです。
後でトラブルになることのほとんどが「曖昧にしていた」ことが原因となっています。
運送委託契約書の種類
基本契約書
基本契約書とは運送会社と荷主のそれぞれの遵守事項や損害が発生したときの責任の所在など基本的に変わらない事項について記載されているものです。
会社と会社の総合的な契約をまとめたものだと思っておけば良いでしょう。
覚書
運賃や燃料費、そのときの運送に関する附帯業務など契約期間中に変動する可能性があるものをまとめておくのが覚書です。
定期的に見直しが行われることが多く、実状に即したものになることが多くあります。
発注書
その運送の積み込みや積み下ろしに関する日時、場所、荷物の情報などその運送に関する契約をまとめたものです。毎回内容が変わるために内容の確認が必要となります。
急ぎの仕事や仕事内容が変更になったときなどもこの発注書で対応がなされています。
運送委託契約書を結ぶ際の交渉のコツ
新規・既存契約の契約書を作成する
取引先にこういった書類を作ってくれというのは言いにくいということもあります。そこでできるだけこちら側が契約書の元を作った方が良いでしょう。
原価や運賃のデータがある場合はそれを添付すると見やすいかもしれません。それを元に話をつめていくとまとまりやすいでしょう。
書面にするのをしぶる取引先との交渉
慣れている取引先などでは電話で取引を行うことも多くなります。頻繁に仕事の発注がある場合はいちいち書面にしていられないということもあるかもしれません。
そういった場合でもできるだけ見積書や発注書に必要な事項を書いておくだけでも最低限の効力が発揮できます。何も記載されておらずに口約束だけだと後でトラブルになることがあります。
不当な圧力をかけられた場合
正当な契約を結ぼうとして、契約や取引に関して圧力を受けた場合などは運輸支局などに相談をすることも可能です。
とにかく
- 「書面にしたがらない」
- 「不利な条件を押し付けてくる」
という取引先は長く取引をするべきところではありません。後のトラブルを防ぐためにも不利な条件で仕事を引き受けないようにしましょう。
運送委託契約書を作成するのは何のため?
運賃支払いのトラブルを防ぐ
運賃支払いのトラブルとして考えられるのは、
- 支払いの遅延
- 未払い
- 値引き
- 支払い条件の変更(30日の手形を90日に変更されるなど)
などがあります。
特にトラブルは「支払い」に関するものが多いのが特徴です。まったく払わないということはあまりありませんが、減額や遅延は多く起こっています。
それらのトラブルを防ぐという意味合いが強いと言えます。
附帯業務の負担を減らす
なかなか現場に着いてから荷主に「これもやってほしい」と言われるとドライバーは断りにくいものです。中にはかなり時間がかかる、手間がかかるような附帯業務をさせられる場合もあります。
これらのドライバーの負担を減らすためにも運送委託契約書を作って、それらが料金に含まれているのかどうかをはっきりさせておくべきなのです。
貨物破損の責任所在を明確にする
事故が起きた場合に積み荷が破損してしまうということもあります。また、工事や事故によって到着が遅延してしまうということもあります。
こういった場合の責任の所在をはっきりさせておくことも重要です。ここが明確になっていないと事故が起きたときに責任の所在でトラブルが起きます。
運送委託契約書を作ろう
何回も取引をしている荷主などは運送委託契約書を作るということを嫌がることもあります。
しかしweb上では運送委託契約書のテンプレートが公開されていますので、無料でダウンロードして利用することもできます。
あとは項目に従って進めていくだけという状態ですので、積極的に利用していきましょう。正式なものを作成したいという場合には弁護士や行政書士に依頼するということも可能です。
まとめ
口約束に慣れている取引などでは運送委託契約書を作成するのが面倒と感じることもあるかもしれませんが、運送に関してトラブルが起こる際はほとんどが口約束のみで運送委託契約書を作成していないこととなっています。
後のトラブルを防ぐためにも運送委託契約書を作成することを当たり前にしていきましょう。