過積載に許容範囲がない理由とは?過積載の責任・罰則は誰に課されるのか
トラックにはそれぞれの車両の大きさによって最大積載量が定められています。「過積載」とは、その最大積載量以上の重量の荷物を積むことですが、こうした違反をすると罰金を含む罰則が与えられます。
そこでここでは過積載はなぜ起こるのか、その罰則について、許容範囲はあるのかなど、過積載について紹介していきたいと思います。
Contents
過積載に許容範囲は認められるか?
過積載とは
その車両に定められている最大積載量を超えて荷物を積むことです。なぜ起こるのかについてはいくつか理由があります。その中でも多いのは「できるだけ多くの荷物を運んでコストダウンする」というものです。
運送業は1回でできるだけ多くの荷物を運んだ方が利益が出やすいので過積載が発生しています。
過積載の計算方法
例えば最大積載量が10tのトラックに18tの荷物を積載すると積載率が180%となり、80%オーバーの過積載ということになります。
これだけ過積載になると制動距離がかなり大きくなるため、思っている場所に止まることができずに事故を起こす可能性が非常に高くなります。また、どれだけ過積載しているかによって罰則や罰金も違ってきます。
過積載に許容範囲はある?
基本的に過積載に許容範囲はありません。過積載になっている重量の割合に応じて罰金や罰則を受けることとなります。
実際の現場ではわかっていても見逃しているということがあるかもしれませんが、発見されれば当然厳しい罰則を受けることとなります。
これは大型トラックなどが過積載の状態で事故を起こすと大規模な事故になりやすいという現状やドライバーの労働環境改善、負担軽減のためにも重要だと行政が考えていることが関係しています。
少しだけであれば大丈夫ということではなく、過積載は違反であるという認識を強く持つことが重要です。
過積載に対する罰則
過積載の責任を負うのはだれ?
過積載のトラックが摘発されると罰則を受けるのは「ドライバー」「事業者」「荷主」の3者ということになります。
それぞれが過積載の割合によって罰則を受けることとなりますが、特に近年荷主に対しての対応が厳しくなりつつあります。これは過積載だとわかっていて行っているという悪質な荷主が増えていることに関係しています。
ドライバーに対する過積載の罰則
ドライバーが過積載を起こした場合は以下のような罰則があります。
- 最大積載量の5割未満(150%未満)
大型車等・・・違反点数2点(反則金3万円)
普通車等・・・違反点数1点(反則金2万5千円)
- 最大積載量の5割以上10割未満(150~200%未満)
大型車等・・・違反点数3点(反則金4万円)
普通車等・・・違反点数2点(反則金3万円)
- 最大積載量の10割以上(200%超)
大型車等・・・違反点数6点(6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金)
普通車等・・・違反点数3点(反則金3万5千円)
会社・事業者に対する過積載の罰則
過積載を起こしたトラックの所有者、ドライバーの使用者については以下のような車両停止期間が定められています。
- 最大積載量の5割未満(150%未満)
違反回数1回目・・・10日
違反回数2回目・・・30日
違反回数3回目・・・80日
違反回数4回目・・・200日
- 最大積載量の5割以上10割未満(150~200%未満)
違反回数1回目・・・20日
違反回数2回目・・・50日
違反回数3回目・・・130日
違反回数4回目・・・330日
- 最大積載量の10割以上(200%超)
違反回数1回目・・・30日
違反回数2回目・・・80日
違反回数3回目・・・200日
違反回数4回目・・・500日
荷主に対する過積載の罰則
過積載になることがわかっていながら仕事を依頼した荷主に対しては警察署長から「再発防止命令」が出されることになります。この再発防止命令を受けた上でさらに過積載の再発があった場合には、
- 6ヶ月以下の懲役、または10万円以下の罰金
という罰則があります。ただし、基準の倍以上となるような悪質な過積載だと認められた場合には、
- 100万円以下の罰金
などの重い罰則となることもあり、悪質な過積載が何度も繰り返される場合には営業停止命令が出されることもあります。
過積載はなぜいけないのか
事故の危険性
過積載の状態では制動距離が伸びてしまうことに加えて、車体のバランスが悪くなることで横転する危険性が高まるといった事故につながる可能性が高くなってしまいます。
道路・環境への悪影響
大型トラックが過積載の場合などは道路や橋などを走行すると大きな負担をかけることとなってしまいます。また、自然環境にも影響を与えます。
車体への悪影響
過積載の状態で走行していると燃費は悪くなりますし、車体全体やそれぞれの部品にも大きな負担がかかるために破損、故障の原因となります。
過積載が告発・発覚する理由
道路上での取り締まり・検挙
道路を走行しているときに「自重計」にトラックが乗ることがあります。これによって過積載が発覚することがあります。
事故
事故を起こした際に原因を調べていて、過積載がわかった時などは刑罰がかなり重くなることがあります。
内部告発
過積載を会社や荷主がドライバーに強要している場合、発覚するとドライバーも罰則を受けることがあります。それで運転ができなくなると死活問題となるため、従業員が内部告発するということがあります。
また、近所の人や商売敵から告発があることもあります。
過積載をなくすには
まずそのトラックの最大積載量をしっかりと把握しておくことです。そして自重計の乗って確かめたり、目視で積み過ぎているかどうかをチェックするということもあります。
また、書類の計算上で重量がオーバーしている場合などは論外です。必ず事前に確認しておきましょう。
まとめ
過積載は実際に行われていることがある違反ですが、事故の危険性が高まる、発覚すると重い罰則を受ける、車体を傷めることになる、道路や橋などに負担をかけると良いことはほぼありません。
実際にはデメリットの方がはるかに大きいのです。過積載になっていないかどうか必ず確認して走行するようにしましょう。