高床トラックの読み方と特徴・用途をご紹介!低床トラックとの違いはなに?
運送業界に足を踏み入れると、「高床」「低床」という言葉を耳にする機会があるかもしれませんが、なんとなくイメージはできるけれど、どんな違いがあるかはわからないという人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、高床と低床の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。
Contents
高床トラックと低床トラックの違い
床面地上高が違う
高床と低床の違いは何かといえば、文字通り床が高いか低いか。この場合の「床」は、荷台の床のことを指しています。
実はトラックには、この2種類の他に「全低床」もあり、荷台の高さは3種類あるということになります。
床の高さが違うということは、地面からの高さである「地上高」も違うし、タイヤの大きさも違います。もちろん乗り心地も違うし、使い勝手にも違いが出てきます。
大型トラックの場合は、軸数(横から見たタイヤの数)が3つならば高床、4つならば低床というわかりやすい見分け方がありますが、普通トラックの場合はタイヤの大きさで判断するのがわかりやすいかもしれません。
とはいえ、毎日当たり前のようにトラックを見ていると、「あ、なんか高い」と遠目に見てわかるようになってきたりするものです。
高床トラックの読み方
「高床」は「こうしょう」と読みます。「低床」は「ていしょう」、そして先に挙げた「全低床」は「ぜんていしょう」と読みます。
大型トラックの場合は、「3軸高床」または「高床3軸」、「4軸低床」または「低床4軸」と呼ぶこともあります。
荷台の高さを変えるのはなぜ?
荷台の高さを変えるのには、いくつかの理由があります。
たとえばプラットフォーム付けがメインならば、プラットフォームの高さに合わせる場合もあるし、荷室を広く取りたいという理由で低床を選ぶこともあります。
その他にも、積み下ろしの負荷軽減のために低床を選んだり、輸送中の振動軽減を目的として高床を選んだりと、何を優先するかで荷台の高さも変わってくるのです。
高床トラックの用途とメリット・デメリット
高床トラックのメリット
冷凍冷蔵品の輸送などでは、地面からの距離が低い分だけ少しでも熱が伝わりにくい分、高床のメリットがあります。
また、プラットフォームが高いセンターに出入りする場合、書籍などの重量物を輸送する場合などにも利用されています。
その他にも、高床トラックはタイヤが大きいため、走行中の振動が少ないというメリットがあり、デリケートな荷物を積載する場合や、長距離メインでドライバーの負担を軽減したい場合などにも使用されます。
さらには、タイヤが大きいため回転数が抑えられ、摩耗が少なくなることもメリットといえます。
高床トラックのデメリット
高床トラックのデメリットといえば、やはり荷台が高いため乗り降りが大変なこと、そして床が高い分だけ荷室が狭くなるという点が真っ先に挙げられます。
もちろん手積み手降ろしをする場合も、高い荷台ではドライバーの負担も大きくなります。
フォークリフトやクレーンでの積み下ろし、またはプラットフォームでの積み下ろしがメインでなければ使い勝手が悪いといえるでしょう。
特に大型トラックの高床は、身長150cmぐらいの小柄な女性ドライバーでは、荷台に上がるだけでも一苦労です。
長距離輸送に使われる高床トラック
先に挙げたように、高床トラックは走行中の振動が少ないため、長距離輸送で使われることもよくあります。
特に直進の際の安定性が高いため、高速道路で長距離を移動するドライバーへの負担が少なく、積み荷へのダメージも少なくて済みます。
一般的な輸送で使用される3軸高床の大型トラックは前1軸ですが、大手宅配業者のセンター間輸送で使う路線便では、前2軸の3軸高床トラックもよく利用されています。
前1軸に比べてさらに直進の安定性が高く、タイヤも8本なので経済的といえますが、ホイールベースが長いため小回りが利かないというデメリットもあります。
ダンプやミキサーなど、悪路を走るため高い走破性が求められる場合は、前1軸の後2軸、そして後輪の2軸ともが駆動輪となっている「ツーデフ」車が利用されます。
低床トラックの用途とメリット・デメリット
低床トラックのメリット
低床トラックは、「荷物を積載すること」に焦点を当てたトラックです。床が低いため広いスペースが確保できるので、高床では積みきれない荷物を積載することができます。
特に大型トラックでは、高床では段積みできないような荷物も積載することができるので、より多くの荷物を輸送することができます。そのため、荷主によっては低床を指定することもあります。
また、荷台が低いことで手作業での積み降ろしがしやすく、荷台への乗り降りも楽にできるため、ドライバーや作業員の負担を軽減することができます。
低床トラックのデメリット
低床トラックのデメリットは、タイヤが小さいため振動が伝わりやすいことが最大といえるでしょう。
後輪が小さいため、路面の凹凸などによる衝撃をあまり吸収できず、特に小型トラックでは振動がかなり大きくなってしまいます。
また、全低床ではなく荷台だけ低床の場合は、スペアタイヤが2種類必要になることもデメリットです。タイヤサイズが小さいため、高床の大きなタイヤに比べて摩耗が早いのもデメリットといえます。
近距離輸送に適した低床トラック
大型トラックの場合は低床トラックでの長距離ももちろんありますが、特に小型トラックの場合は、低床は近距離に適しているといえます。
小型トラックの場合は手積み手降ろしも多く、荷台の低い低床のほうが、作業する際の負担が軽減されるためです。
また、荷物を多く積載できるので作業効率が良いことも、頻繁に積み降ろしのある近距離輸送に適している理由のひとつです。
特に大型トラックでは、多くの荷物を一度に運べる4軸低床が重宝されている場面も多々あります。
まとめ
トラックの床の高さには、思っていたよりも違いがあると感じたかもしれませんが、高床、低床、全低床それぞれに合った用途があるので、どれが優れているというわけではありません。
どんなトラックを選ぶかは、業務の内容と照らし合わせて、最も適した車両を選ぶことが大切といえます。