バタ踏みはなぜ危険なのか?エアブレーキの上手な踏み方とは
エアブレーキ搭載車を運転する上で注意しなければならないバタ踏み。危険な行為とは言われているものの、あまり聞きなれない言葉であることも確か。
何のことかわからない方も多いのではないでしょうか。しかし、トラックはエアブレーキ搭載車の代表的な例。
トラックドライバーとして仕事をするなら、バタ踏みの危険性については把握しておかなくてはなりません。
そこで今回は、バタ踏みという用語の意味や、バタ踏みがなぜ危険とされているのかなどについて詳しく紹介していきたいと思います。
Contents
バタ踏みはなぜ危険か
まずはバタ踏みの定義について確認していきましょう。
バタ踏みとは
バタ踏みとは、ブレーキペダルを踏み込んだり緩めたりといったことを短時間のうちに繰り返す行為を指します。走行中はもちろん、停止中であってもバタ踏みは避けるべきであるとされています。
ちなみに、一般的にはブレーキペダルを操作する際の注意事項として語られることの多い言葉ではありますが、人によってはアクセルペダルをバタ踏みしてしまうケースもあります。
車のスピードを均一に保っておくのが苦手だという人は、アクセルをバタ踏みしている可能性があるので注意してください。
エアブレーキ車でバタ踏みは厳禁
普通自動車のブレーキは油圧によって作動しますが、トラックにはエアブレーキが搭載されています。トラックは重量があるうえ荷物を積み込んで走るのが大前提なので、力の強いエアブレーキのほうが適しているのです。
バタ踏みをしてしまうと、付属しているエアータンクが空になってしまうおそれがあります。こうなるとブレーキが利かなくなるなどして重大事故の原因となりますので、普通自動車と同じ感覚でブレーキを踏むのは厳禁です。
エアブレーキとは
エアブレーキの特徴と、バタ踏みとの関係について押さえておきましょう。
エアブレーキの仕組み
エアブレーキ搭載車は、外部から取り込んだ空気を圧縮して、付属のエアータンクに貯蔵できる作りになっています。この圧縮した空気のことを、そのままではありますが、一般的にエアーと呼んでいるのです。
エアブレーキは、このエアーでブレーキシリンダを動かします。バスに乗っているとき、停車と同時に「プシュッ」と空気の抜けるような音が発せられるのを聞いた経験のある方は多いでしょう。
あれはバスがエアブレーキ搭載車であるためで、実際に空気が抜けているのです。
エアブレーキは油圧よりも強い力が出ることで知られています。また、どこにでもある空気を取り入れて使っているという点でも信頼性が高い仕組みと言えるでしょう。
バタ踏みが原因となるエアブレーキの異常
先述のとおり、バタ踏みをするとエアーが無駄遣いされて空気圧が低下していき、最終的にはエアータンクが空になってしまいます。
エアータンクが空になると、ブレーキを作動させることができなくなるなど、様々な不具合が生じます。運転中には致命的と言える異常ですから、引き起こさないように注意しなければいけません。
エアブレーキに異常が起きると
エアブレーキに異常が発生した場合、最も危険なのは言うまでもなくブレーキが利かなくなることでしょう。
前の車両に追突したり、障害物に衝突したりといった原因となります。また、トラックなどの業務用車両が基本的にマニュアル車であることもポイント。
つまり運転にクラッチ操作を伴うわけですが、バタ踏みによってエアータンクが空になった状態では、そのクラッチも利かなくなってしまうのです。
さらに言えば、ギアチェンジもできなくなります。ギアを落とせないとエンジンブレーキが使えないので、坂道などを走行する際には大変危険となります。
エアブレーキ車の上手な運転の仕方
ここまでのことを踏まえたうえで、エアブレーキ車を上手に運転するための方法を考えていきましょう。
ブレーキは足首で調整
エアブレーキ搭載車でブレーキを踏む場合は、普通自動車と同じ感覚で強く踏んではいけません。
エアブレーキは油圧ブレーキよりも制動力が強いため、普通に踏むと急ブレーキ状態になってしまったり、タイヤがロックしたりするのです。
エアブレーキ搭載車におけるブレーキペダル操作は、かかとを床につけ、そこを軸にして足の裏全体を使って踏むのがおすすめの方法です。
足首で調整するのがコツ。風船を踏むようなイメージで、繊細な操作を心がけましょう。
エアメーターをチェックしよう
エアブレーキ搭載車にはエアメーターがついています。その表示には目を配っておきましょう。
レッドゾーンに入ったら特に注意が必要です。警告音が鳴るはずなので、その際には早めに対処しましょう。
積載量を守る
荷物の積載量を守り、ブレーキに過度な負担をかけないことが大切です。荷物が重くなればなるほどブレーキは利きにくくなります。
そもそも過積載は法令違反です。処分の対象にもなりますから、絶対にやめましょう。
安全運転を心がける
バタ踏みをしなければならなくなる要因として、スピードを出しすぎていたり、車間距離を詰めすぎていたりといったことが挙げられます。
こうした行為は事故のもとになりますから、ブレーキのことを置いておいても慎むべきです。
排気ブレーキ・エンジンブレーキを利用する
トラックなどの大型車はディーゼルエンジンが主流なので、排気ブレーキが使えます。エンジンブレーキの力を強めるための機構ですね。
エンジンブレーキとは、エンジンの回転抵抗を利用したブレーキ方法を指す用語です。ギアをニュートラル以外に入れて、アクセルペダルを離せばエンジンブレーキがかかって車が減速します。
排気ブレーキ・エンジンブレーキは坂道などで有効です。フットブレーキに頼りすぎないという意識がバタ踏みを避けるコツと言えます。
エアブレーキの異常を感じたら
エアブレーキの警告灯が点灯した場合、とにかく空気圧を元に戻さないといけません。
トラックを停車させ、アイドリング状態でエアーの回復を待ちましょう。あるいは、アクセルを踏んでエンジンの回転数を上げることで空気圧を回復させるという方法もあります。
もっとも、そもそもブレーキの利きが薄れている状態でアクセルを踏むのは危険でもあります。基本的には車を停め、アイドリングで待機しておくことをおすすめします。
ブレーキの点検は定期的に
ブレーキまわりは定期的に点検し、異常を早期発見しておくことが故障を防止するためにも有効です。
エアメーターを見て残量をチェックする、エア管やコンプレッサーに破損がないかを確認するなど、普段からの点検・整備を怠らないようにしておきましょう。
年式の古いトラックは現在のトラックよりも性能が低く、すぐにエアーが少なくなるため、特に念入りなメンテナンスが必要です。
まとめ
エアブレーキ搭載車でのバタ踏みはブレーキの不具合を招くため、非常に危険な行為です。
車間距離をとる、エンジンブレーキを使うなどして、フットブレーキに頼りすぎない走行を心がけましょう。