トラック運転手は将来性がない仕事って本当?キャリアアップの方法や長く働くコツなどをご紹介
2020/12/01
トラック運転手になりたいと言うと、「トラック運転手は将来性のない仕事だ!」と反対する人が多くいます。
果たして本当に将来性のない仕事なのでしょうか?
実際のトラック運転手の仕事は、多くの人がイメージするものとは異なります。急速な時代の変化で、トラック運転手という仕事は大きく変わっています。
この記事では、「トラック運転手」という仕事の将来性についてご紹介しています。自動運転などのテクノロジーに仕事は取られないの?トラック運転手としてキャリアアップはできる?といった疑問にお答えいたします!
Contents
トラック運転手の将来性を決める「物流業界」これからとは?
日本の物流業界では、ECサイトの増加によってトラック運転手の需要が急激に伸びています。
現在、トラックや鉄道、船舶などの物流業界の市場規模は約26兆円と言われており、その内の15兆円ほどがトラックによるものです。
他業界の例をご紹介すると、アパレルの市場規模は約5兆円、飲食業界の市場規模は約4.8兆円ほどです。大きな業界である製薬業界も、その市場規模は10.7兆円ほど。こうしてみると、物流業界がいかに巨大な市場であるかがイメージできるかと思います。
また、上記のグラフでもわかる通り、これからオンラインショッピングの需要は増え続けるため、日本の商品流通や温度管理の技術はどんどん進化し、物流の市場規模も伸び続けます。
これからの日本でトラック運転手の需要はなくなることはありません。つまり、トラック運転手は非常に将来性のある仕事だと言えます。
「人手不足」が運送業界に良い影響を与えている理由
物流業界の急激な伸びに、人材が追いついていないのが今の日本の現状です。
つまり、今の運送会社は、深刻な人手不足に悩まされています。その中でも、トラック運転手の人手不足は特に深刻です
このトラック運転手の人手不足問題に対して、運送業会はどのような対策を取っているのでしょうか?
「過酷」「肉体労働」というイメージを払拭するため、待遇を改善している
一般的に、トラック運転手は「体力勝負の過酷な仕事である」というイメージが強いでしょう。
ひと昔まえであれば、ほぼ休み無しで1日に10時間以上も運転する、といった話はざらにありました。しかし、この問題を放置していては、人手不足は深刻化するばかりです。
そこで、大手運送会社をはじめ、最近は中小の運送会社でも、労働環境やトラック運転手の待遇の改善が大きく進んでいます。
もちろん、運送業界全体ではまだまだ改善余地はありますが、正しい会社を選べば、トラック運転手として、ホワイトな環境で高収入の仕事をすることが十分可能になっているのです。
これからは、高収入を求めてトラック運転手になる、という人も出てくるでしょう。
トラック運転手としてのキャリアアップの道が開かれている
人材不足が運送業界に与えているもう一つの良い影響は、トラック運転手としてキャリアアップすることができるようになった、ということです。
以前は、トラック運転手はずっと同じ給料で働き続け、給料や待遇アップは見込めませんでした。しかし、今のトラック業界は大きく変わっています。
中型免許を取得すれば月収は20万〜25万円になり、フォークリフト免許や危険物取扱免許などの特殊免許・資格の取得で、さらに収入は上がります。大型トラックが運転できれば、月収は30万〜35万円にもなり、資格と組み合わせれば月収50万円以上も十分可能です。
トラック運転手としてキャリアプランを立てる、ということができるようになったのです。
将来を考え、トラック運転手をキャリアとして選ぶ人は、これから増えていくでしょう。
トラック運転手はテクノロジーに仕事を取られてしまう?
最近話題になっている【自動運転技術】をご存知ですか?その名の通り、人が乗っていなくても車が自動で運転するという技術が生まれつつあるのです。
トラック運転手をはじめ運転を仕事としてる人たちは、「テクノロジーに自分の仕事を取られるんじゃないか…」と不安になっている人も多いのです。
果たして本当にトラックが自動運転される時代がくるのでしょうか?
結論、これからの半世紀は、トラック運転手の仕事がロボットに取られることはないでしょう。なぜなら、自動運転技術は市販化するにはあまりにも未熟で、高度な運転技術が必要になるトラックの運転となると、なおさら現実的ではないからです。
また、ドローンで宅配便を運ぶ、という技術も進んでいます。しかし、長距離の配送、重い荷物や大量の荷物の配送は、やはりトラックでないと務まりません。トラック運転手を目指しているなら、当分テクノロジーに仕事を取られる心配は不要です。
トラックの自動運転開発も着実に進んでいる
トラックの自動運転がすぐ実現しないとはいえ、自動運転技術開発が着実に進んでいることは事実です。例えば、2020年11月に大手トラックメーカーのいすゞと欧州のトラックメーカーであるボルボ・グループが、2021年上半期から自動運転技術開発を目的とした協業をスタートすると発表しました。
いすゞはこれまでもレーンキープアシスト機能の追加も発表していたり、ボルボは自動運転レベル4相当の技術を2021年までに実現することを目指していたりと、どちらもトラックの自動運転に向けて積極的に取り組んでいる企業です。これから段階的にトラックの自動運転が実現していく可能性は十分にあるでしょう。
自動運転の法整備と今後の課題
乗用車に関してはすでに法整備が進んでおり、現在自動運転レベル3(一定の条件下でハンドルから手を離して運転可能)であれば公道を走ることができます。レベル3は運転操作全てを車のシステムに任せるため、本当の意味で自動運転と言えるでしょう。
レベル3以上の自動運転の場合、システムが故障した際に即座にドライバーが運転をしないといけないため、非常に高い精度のシステムが求められます。それがトラックとなると、乗用車以上に確実なシステムが必要になるため、自動運転の実現の上で課題となるでしょう。また、ローカルダイナミックマップ技術と呼ばれる、トラック周辺の人や物体を認識する技術の向上も、自動運転における課題だと言われており、トラックの自動運転を実現する上で大きな壁となるでしょう。
物流業界に対する国の方針
トラック運転手が働きやすい環境を作るため、厚生労働省はハンドブックやガイドラインを作成し、荷主との適正な取り引きや長時間労働改善を促しています。国の方針として、厚生労働省の取り組みを一部ご紹介します。
長時間労働の改善
トラック運転手の長時間労働は、荷待ち時間が原因であることが多くあります。荷待ち時間は、決して運送業者だけで解決する問題ではなく、荷主の協力も必要になります。発荷主が1時間出荷時間を遅らせればドライバーの労働時間が1時間減り、着荷主が納品時刻をあらかじめ決めておけば、荷待ち時間が減ります。そのため、荷主の協力で労働時間は大幅に改善する余地があるのです。
ドライバーの長時間労働が改善されることで、荷主にもメリットがあります。一番大きなメリットは、ドライバー不足の最大の原因が解消されることで物流が安定することです。荷主はドライバーがいないと荷物を届けられないため、自身のサービスを続けるためにも、ドライバーに協力することが必要不可欠です。また、ドライバーの労働時間削減は納期遅延の防止や運送業者との信頼関係構築にも繋がります。
運賃の向上
ドライバーの運賃が低いことも、長時間労働の原因の一つです。運賃が低いと、生活のために長時間働かざるを得なくなるからです。
実際に、低い運賃を一方的に決められてしまう運送業者は多く、委託者の立場が強くなってしまうのが現状です。例えば、ラベル貼りや仕分け、横持ちなど、ドライバー業務とは別の「附帯業務」をやらせているにも関わらず、それに対して料金を払わない委託者は多くいます。また、高速道路を使うことを前提とした輸送でありながら、高速道路料金を支払わないことは、下請法・独占禁止法に違反する恐れがありますが、これを行っている委託業者は少なくありません。
厚生労働省は委託業者のこのような取り引きに注意喚起を促すガイドブックを発行しており、荷主と運送業者の違反行為のない公正な取り引きを目指しています。
トラック運転手を将来長く続けるための心得
トラック運転手としての将来性を考えるときに、長く働けるかどうかが重要になります。
業界規模や需要を考えると、トラック運転手としての将来性は確保されてるようにも思えますが、実際にどんな安定した職業さえ、一生安泰ということはなかなかありません。トラック運転手も、長期的に活躍したいのなら、向上心をもって働くことが大切です。
資格や特殊免許を取得することで、安定した職につける
トラック運転手は、学歴ではなく、資格や免許で仕事が決まります。
フォークリフトなどの特殊免許や、危険物取扱などの特殊資格を取得することで、どこへ行っても採用されるドライバー人材になることができます。
将来的に長くトラック運転手をやっていこうと思っている人は、ぜひ免許や資格を取得しましょう。
同僚とのコミュニケーションを大切にし、会社にアピールする
トラック運転手は1人で行う仕事なので、コミュニケーション能力がなくても問題ない、と思っている人も多いかと思います。しかし、同僚との積極的なコミュニケーションは、会社の上層部に自分の能力をアピールする上でとても重要です。
なぜなら、上層部出ある管理職は、強調性のある人、コミュニケーションがしっかり取れることが必須条件だからです。
1つの会社で長く働きたい、そして出世したいと思っている人は、コミュニケーションを大切にすべきです。
体調管理をしっかり行い、体力をつける
将来長くトラック運転手として働くためには、体調管理をしっかり行う必要があります。トラック運転手は体力勝負の仕事なので、体を壊したら働くことができなくなります。
しっかり睡眠を取ることもそうですが、腰痛が悪化しないよう走行中はクッションを使う、定期的にストレッチをするなど、日々の業務で気をつけることが重要です。
最後に
市場が伸びていくことは間違いないので、あとはトラック運転手のイメージと労働環境の改善次第で、将来性はとてもある職業なのは間違いないでしょう。
最近は、大手運送会社を中心に、運送料の値上げが進んでいます。これは、トラック運転手をはじめとした運送業界で働く人間の待遇を上げるためです。トラック運転手の給料も、確実に上がっていくでしょう。
現在、トラック運転手の方で、今の待遇や労働環境に不満が有る方は、転職をすることでより良い環境を手に入れることもできる可能性はありますので、将来性に期待しつつ、現在の環境を変えるためのリサーチをしてみることをおすすめします。