運送費の適正な計算方法とは?運送会社が負担する原価・コストを把握する
運送費に関しては相手側の要求や、過去に行ってきた運送の相場などで決めているということもあります。
しかし近年では運送会社の価格競争も激しくなっているということもあり、原価やコストなどを踏まえた上で運送費を計算することが必須となってきています。
そこでここでは適正な運送費の計算方法について紹介していきたいと思います。
Contents
運送費の相場の決まり方
個建
運送費は色々な計算方法があります。まずは
- 「荷物1個につき」
- 「パレット1枚につき」
という個数で計算するという方法です。
見た目などからだいたいの運送費が計算できるためにわかりやすいという特徴がありますが、荷物によって重さが違うために細かい点で正確かとなると疑問は残ります。
貸切
その目的地に向かう際にそのトラックに他の荷物を載せずに貸し切りにする場合はトラック一台分としての料金となります。
他の荷物と一緒にしたくないという場合やトラックほぼ一台を使い切るくらいの時は良い方法ですが、隙間だらけになる場合などは損をする計算方法でもあります。
運送距離単価
実際に走る運送距離を基準に運送料金を設定するというものになります。
運ぶ区間の距離によって算出されるためにわかりやすい、明確であるというメリットがあります。運送会社側も利用する側も計算しやすい方法です。
運送時間単価
運送するのにどれくらいの時間がかかるかという時間を基準にして運送料金を計算する方法です。
休憩時間はどうするか、常にどういったスピードで走行するかによって時間は変わってきてしまうために距離と比べると曖昧な部分があり、会社ごとで算出方法は違ってきています。
積み合わせ輸送
積み合わせ輸送は1台のトラックを複数の利用者が共有して利用するという方法です。
色々な客からの荷物を集荷して1台のトラックが輸送、配達店で再び振り分けて個別に配送するという方法が取られます。
この方法は運賃の基準が国土交通省で規定されており、貸切便にするよりもかなり安い運賃となります。
運送会社は運送費をどうやって計算しているか
取引先の提示
運送会社によって色々な計算方法があるのですが、取引先が運送費を提示してくる場合があります。
その料金と自社の料金を比較して考え、双方が納得すればそこで価格が決定するということがあります。
取引を数多く行っている会社などでは独自で運賃表を持っている場合があり、運送会社とのすり合わせによって値段を決めていきます。
過去の運送費を参考に
それまでに似たような荷物、場所、数量などの時の運送費を参考にして決めるということがあります。過去に一度その値段で契約がなされているため、だいたいの指針になりやすい方法です。
原価計算に基づく運送費
最低限かかる原価から運送費を計算するという方法もあります。
この場合は運送会社は利益がでにくい方式になりやすく、この運送費から減額されたりすると原価すらも割ってしまうということがあります。
原価計算だけを追求すると利益を乗せにくいため注意が必要です。
運送費の原価・コスト
車両管理費
運送費にはさまざまなコストが含まれています。まずはトラックなどの車両を維持・管理していく費用です。
トラック1台を維持していくためには
- 自動車税などの税金
- 毎年行われる車検代
- 点検修理費
などのコストがかかってきます。これらは運送費に車両管理費として含まれているのです。
人件費
- 実際に運送を行うトラックドライバー
- 運送会社の社員
などさまざまな運送に関わっている人の人件費がコストに含まれます。運送を急ぐ場合、早朝や深夜に運送を行う場合などは割増しになることがあります。
基本的に「規定よりも急がせる」場合は料金が高くなると考えて良いでしょう。
燃料費
運送するにはトラックの燃料費がかかってくることになります。また、エンジンオイルやブレーキオイルなどの消耗品もこれに含まれます。
燃料費は変動することがあるのですが、それが運送費に含まれるかどうかは「燃料サーチャージ」と呼ばれる変動分を上乗せできる契約を結んでいるかが重要になってきます。
高速料金等
- 高速道路
- フェリー
- 橋の通行料
など運送にかかった交通費用です。特に長距離輸送の場合や、海や川を渡る場合に多くかかってきます。
これは一時的にドライバーや運送会社が立て替えて、後に必要経費として請求するというケースが多くなっています。
一般管理費
これは事業所を運営していくにかかって必要になる費用です。
- 事業所の家賃
- 水道光熱費
- 備品代
などがこれに含まれます。
適正な運送費の計算方法
原価を把握しよう
価格競争が激しくなっている運送業界では運送費をどれだけ適正にして利益を出すかということが重要になってきます。その際、原価の管理は必須のものです。
項目別に精査を行い、無駄な原価がかかっていないかを把握してコストカットを行っていく必要があります。同じ運送費でも原価が安い方が利益が出るという概念をしっかりと押さえておきましょう。
運賃と料金
平成29年の法改正によって、
- 待機時間の費用
- 附帯業務(契約にない荷積み荷下ろしを手伝うなど)
は運賃とは別で、料金として請求できることになりました。しかし実際にはこれまでの契約を見直すことなく、以前のままの運送費で仕事を行っているということが多くあります。
これは料金が上がったように感じてしまうことで荷主が仕事を依頼しなくなるなどに配慮して踏み切れないとされており、問題となっています。
適正な運賃やその他の費用が請求出来ているかどうか確認してみましょう。
運送費値上げのコツはデータの提示
運送費自体は年々少しずつ上昇傾向にあります。しかし今まで取引していた会社に対していきなり「運賃を上げます」と言い出せば印象は悪くなりますし、言いにくいことでもあります。
運送費を値上げしたいときは必要なデータを揃えて、値上げしなければいけない事情を説明して話し合いを行っていきましょう。
- 必要経費を支払わない
- 運賃の値上げに断固応じない
という取引先とどれだけ粘り強く交渉していけるかがポイントです。
国土交通省などの行政側としても運送業界の値上げについては前向きに取り組んでいます。これは法改正やテレビコマーシャル、ポスターやパンフレットなどの啓蒙活動にも表れています。
まとめ
運送費の計算は一律なものではなく、会社によっても違いますし、そのときの契約によって変わることもあります。
価格競争が激しくなっている運送業界ですので、この運送費をどれだけ適正に設定できるかが重要になっています。
また、運送会社によって
- 「長距離が得意」
- 「その地域で特に強い」
- 「特殊な積み荷に強い」
などの特徴があります。その会社の持っている強みを活かして運送費に反映させていきましょう。