トラックの規制緩和で何が変わった?これから先の運送業界について
運送業界ではたびたび規制緩和が行われてきましたが、規制緩和によって運送業界がどのように変化していったのかご存知でしょうか?
今回は規制緩和が行われてきた事によってどのように運送業界が変わっていったのかについてをご紹介いたします。
Contents
運送業界の規制緩和とは?
まずは運送業界で行われてきた規制緩和とは何かについてをご初会いたします。
営業区域の拡大
運送業を営む業者にはそれぞれ営業区域というのが決まっていました。
例えば山形県にある運送会社の場合、山形県のみでの営業ができていましたが、規制緩和に伴って複数の都道府県での営業が可能となったのです。
これによって運送業者は県をまたいで活動を行う事が可能になり、よりスムーズに荷物の輸送を行えるようになったのです。
ただし輸送はできますけれど営業区域外からの荷物の場合は帰り荷の荷主と受取が同じ荷主である必要があります。
最低車両台数規制の緩和
規制緩和が行われる以前、運送会社として認められるには最低車両台数は最低で5台~15台(都道府県で違っていた)でしたが、
最低車両台数の規制緩和により最低5台の車両があれば運送会社として登録できるようになりました。
これによりそれまでは台数が少なくて登録できなかった都道府県でも運送業者として活動ができるようになったのです。
この規制緩和によって小さな運送会社の数がぐっと増加していき、2000年の段階で600社弱だったのが1300社弱にまで増加しました。
トラック運賃の届出規制の緩和
規制前には運送会社の運賃の届出は事前に行わなくてはなりませんでしたが、届出規制の緩和が行われてからは事後届出でも構わなくなりました。
実はそれまでは認可制だったのですが平成2年に事前届出制に変わりました。それが平成15年からは事後届出制に規制が緩和されました。
ちなみに事前届出に移行してからの問題点を事後届出制になってから改善するための規制緩和となっていますが、この規制が行われた後も問題が全くなくなったわけではないようです。
規制緩和によって業界に起きたこと
ここでは実際に規制緩和が行われた事によってどのように運送業界に影響が及んでいるのかをお話いたします。
新規事業者の急増
最低台数が全国一律5台からとなった事によって、これまで保有台数が少なくて運送業界に参入できなかった業者でも登録できるようになりました。
結果として運送業界では大小数多くの運送会社が登録され、現在では倍以上の運送会社が登録しています。
大きな会社では難しかった小回りの利く運輸ができるようになったので、荷主としては業者を選ぶ苦労が減ったので、荷主にとっては良い環境になりました。
業者にとってもメリットが大きかった規制緩和だと言えるでしょう。
運賃の低下
業者が増えるという事は当然ですが競争が激しくなっていきます。そのため運送業界では運賃をできるだけ下げて荷主の獲得をしなくてはなりません。
運送業者として生き残るために一番わかりやすいのが運賃の引き下げでした。
一方荷主の側からしてみると運賃が低下した事によって、荷物を運ぶ時の輸送コストを極力抑える事が可能となり、規制緩和のおかげで良い意味での恩恵を受ける事ができました。
他の業界と同じように価格競争が激化していきました。
ドライバーの労働環境の悪化
価格競争が激化した事にも関係しているのですが、運送業界の最低限の利益を守るために一番最初にカットされるのがドライバーのお給料、そして過酷な労働時間になっていきました。
休憩時間はもちろん休みも削られる事もあったようです。
さらに早朝から深夜にまで運送しなくてはならないため、ドライバーの仕事を選ぶ方が激減していき、さらにそれまで勤めていたドライバーの高齢化も深刻化しました。
新たなドライバーが獲得でいないためにドライバーの健康維持が困難という問題が出てきました。
トラック大型化の規制緩和が進む!
ドライバー不足に悩む運送業界にとって「トラック大型化の規制緩和」は救世主的な措置でした。
これによって一度に大量の物資を輸送する事ができるようになったため、ドライバー不足の解消ができ効率よく輸送する事ができるようになったのです。
例えばトレーラーの大型化が進めば一度で数台分の荷物の輸送が可能となります。しかしながら別の意味でのドライバーへの負担がかかる可能性は無いとはいえません。
高度な技術と免許が必要になるからです。ただしこの規制緩和によってドライバーの収入が増える事が期待されますので今後も変化に期待できそうです。
駐車に関する規制緩和について
ドライバーの仕事をしている人にとって恐ろしいのが「違反切符を切られる事」です。
仕事で仕方なく道路で駐停車する事はよくある事ですが、配送するたびに違反切符を切られてしまうとドライバーとしての仕事ができなくなる可能性が否めません。
そこで少しずつ駐車規制の緩和が進んでいるのです。この規制緩和によってドライバーへの精神的なストレスの軽減ができると考えられるので、ドライバーの働き方改革につながっていると考えられます。
特に都内など都市部の配送区域を持つ人にとってはありがたい規制緩和だと言えるでしょう。
さらに異業種との連携も提案されているので、今後は配送を行う業者同士が協力しあって少しでも働く環境の改善が進んでいます。
さらに駐車スペースを増やすなどのルールを新たに作るなど、今後もどんどん改善が進んでいくと予想されています。
これからの運送業界は?
これまでの運送業界はきつくて安くて過酷というイメージがあったため、ドライバーのなり手が減少していきましたが、ドライバーの高齢化によって深刻なドライバー不足に直面しています。
これを改善するために数々の規制緩和が行われてきたのです。その結果としてドライバーの確保が少しずつできるようになってきました。
ただこれまでの規制緩和によって起きた様々な問題点を改善し、ドライバーを守るためのラインを作り、守らない業者に対しては行政が取り締まるクリーンな業界になる事が期待されます。
ただしそのためにはある程度のルールを事前に決めておく必要があるとの声も多く寄せられています。
これは世の中が便利になってもトラックが輸送の全体の8割を担っている事を考えても非常に重要な事なのです。
まとめ
今回は運送業界で起こった規制緩和と規制緩和によってどんな影響が出たのか、そしてこれからの運送業界はどうなっていくのかなどについてをご紹介いたしました。
この記事が運送業界で仕事をしようかなと思っている方の参考になれば幸いです。