運送会社に退職金はあるのか?退職金の相場は?
働いていれば誰もがいつかは迎える退職。一般的な企業であれば退職金がありますが、運送会社の退職金はどうなっているのでしょうか。
そこで今回は、気になる運送会社の退職金について詳しくご紹介したいと思います。
Contents
そもそも退職金制度とは?
退職金とは、企業が退職者に支払う賃金のことです。
そう考えると勤め人なら誰もが受け取れるイメージがあるかもしれませんが、実は退職金制度の導入については、企業に法的義務はありません。
従業員が退職する際、会社に退職金を請求できるかどうかは、その会社の規定によります。
就業規則や退職金規定などに退職金を定める規定がなければ、企業には退職金を支払う義務はありません。
逆に、「退職金については別途定める規定により支給することとする」といった規定があれば、もちろん退職者には会社に退職金を請求する権利が発生します。
世の中は行政ですら退職金ありきで想定されている場面が多々見受けられますが、実は退職金制度のない会社もまだまだたくさんあるのです。
運送会社の定年退職年齢は?
運送会社による
大手や中堅の運送会社では、60歳~65歳を定年としている会社が多いかと思われます。会社によっては70歳を定年としているところもあります。
ところが全国に数ある運送会社の半数以上は零細企業で、車両を201両以上所有する大手運送会社は、なんと全体の1%にも届きません。
そして、中小零細の運送会社の中には、定年がない会社も少なくないのです。運送業界は深刻な人手不足のため、ドライバーの高齢化が進んでいます。
若い世代の担い手が少ない昨今、高齢のドライバーを退職させるわけにはいかない運送業界の現状が垣間見えるともいえます。
実際に町の小さな運送会社に聞いてみると、ドライバーの平均年齢が60歳を超えているという会社も、少なからず存在するのです。
中には80歳を超えて、現役でトレーラーを運転しているドライバーもいます。
定年退職後も働けることが多い
定年制度が設けられている運送会社でも、定年後に嘱託や契約社員として働いているドライバーは少なくありません。
前述のとおり運送業界は人手不足が深刻なため、経験とスキルを有している定年退職者は貴重な戦力なのです。
また、先に述べたように定年制度がない会社も多く存在するため、他業種で定年退職を迎えた後に、ドライバーとして再就職する人も存在します。
ドライバー職は重労働というイメージもあるかもしれませんが、フォークリフトによる積み下ろしのみといった仕事や、海上コンテナ輸送のように積み荷には一切触れない仕事もあります。
業務内容によっては、体力がなくても運転さえできれば続けられるのがドライバー職なのです。
運送会社に退職金はあるのか?
大手運送会社
大手運送会社は、正社員には退職金制度が導入されていることがほとんどです。退職金代わりに確定拠出年金制度を導入している会社もあります。
確定拠出年金とは、加入者である従業員の年金口座に、企業が掛け金を拠出して積み立てる制度で、運用は加入者自身が行うことになります。
確定拠出年金は、60歳以降に一時金または年金という形で加入者に支払われることになるため、退職金代わりとして導入する企業が増えてきています。
退職金と違って万が一企業が倒産しても、社外の口座に積み立てているため、支払われなくなるといった事態を避けられるのが大きなメリットです。
確定拠出年金制度ではなく退職金制度を導入している企業だった場合も、大手運送会社ならそれなりの額が期待できるでしょう。
中小運送会社
中小または零細企業では、冒頭で述べたとおり、そもそも退職金制度が導入されていない会社も少なくありません。
もちろん導入している会社もありますが、その多くは中小企業退職金共済制度(中退共)を利用したものです。
中小企業退職金共済制度とは、中小企業退職金共済法に基づき、事業者が中小企業退職金共済事業本部と契約して、毎月の掛け金を納付していく共済制度です。
従業員が退職した際、退職金は中退共から支払われます。
支払われる退職金は掛け金と納付月数によって決められますが、掛け金を最低月額の5,000円で拠出する企業も多く、そうなると支払われる退職金の額もあまり多くありません。
運送会社の退職金相場は?
退職金制度を導入している運送会社に焦点を当てて、退職金の相場を見てみると、乗務する車両によってその額に差が出るようです。
というのも、退職金は基本給を基に算出されるため、基本給が低ければ当然ながら支給額も低くなるためです。
大手・中小をすべて含んだ上で、退職金制度を導入している運送会社で相場をみた場合、
勤続20年の大型ドライバーで350万円~500万円、同じく勤続20年の長距離ドライバーで500万円~700万円といったところです。
小型・中型ドライバーの場合は、賃金が低めになることに加え、中小企業の比率が高くなることもあり、勤続20年で300万円~400万円といったところです。
いずれにしても、上記より支給額が少ないことも珍しくないため、過度な期待は禁物です。
退職金に期待するなら大手運送会社
退職金に期待する場合、中小零細の運送会社では、まず退職金制度を導入している会社を探すところから始まります。
ためしに求人を眺めてみれば、その数がいかに少ないかがわかるはずです。もし退職金に期待するのなら、多少ハードルは高くとも、大手運送会社に就業することが理想です。
会社によって金額に差があるとはいえ、正社員に登用されれば退職金制度があるところがほとんどです。就業条件などが希望に合っているようなら、大手運送会社を選ぶのが正解でしょう。
老後の資金をどうするか
まとまった形で退職金を受け取れるのであれば、それに越したことはありません。もちろん退職金は、ないよりもあるほうがいいのは明白です。
けれど、退職金制度のない中小零細企業でも、老後の資金を考えることはできます。仮に月1万円ずつ貯金したとして、20年続ければ240万円です。
退職金のない中小企業に勤務したとしても、定年がない若しくは継続して勤務できる会社ならば、さらに積み立て続けることもできるのです。
大切なのは、老後の生活資金を確保できるかどうかです。個人年金や個人型の確定拠出年金を上手く使うことで、退職金に相当する老後資金を自分で積み立てていくという方法もあるのです。
退職金というまとまったお金に囚われず、年収額なども比較したうえで、個人で積み立てることも検討してみると、視野が広がるかもしれません。
まとめ
老後の資金を考えると、退職金はとても魅力です。生涯現役でバリバリ働くのも、悠々自適の老後を送るのも、それぞれのメリット・デメリットがあるかと思います。
自分に合った生き方を考えて、老後に備えたいですね。