キャリアカーの種類について!積載台数によって分けられたキャリアカーを解説!
キャリアカーにはどのような種類があり、必要な免許や資格はキャリアカーの種類によって変わるのか気になりますよね。
そこでここではキャリアカーの種類の紹介や、キャリアカーの操作に必要な資格についてご紹介します。
Contents
車のための車がキャリアカー
キャリアカーは「カーキャリア(car carrier)」「車両運搬車」「積載車」「積車(せきしゃ)」とも呼ばれる、車両を運搬するための車両です。
「carrier」は「運ぶ」という意味を持つ「carry」に「er」を付けたもの。すなわち「運び手」です。
モータースポーツの世界では、特に「トランスポーター(略して「トランポ」)という呼び名が使用されることも多いですね。
新車や中古車などの商品としての四輪車を輸送したり、事故車や車検切れの車、引っ越しする人のマイカーなどを輸送したり、さらには公道を走れないレース車両を輸送したりといった、自走を避ける場面で活躍するトラックです。
つまり、自動車を運ぶための自動車がキャリアカーなのです。
積載台数によって呼び方が変わるキャリアカー
積載台数1台のローダー
運送業界では、1台だけ積載する車両を「キャリアカー」と呼ぶことはあまりありません。一般的に「ローダー」と呼びますが、「トランポ」と呼ぶこともあります。
2tから大型トラックまであり、その用途も場面によってさまざま。主に乗用車から2tクラスの小型トラックまでを輸送することができます。
ローダーには「セルフローダー」と「セーフティーローダー」の2種類があり、トラックの前方が高く上がり、荷台が地面に近くなるように傾斜するトラックがセルフローダー。
セーフティーローダーは、荷台が後方にスライドしてスロープを作るトラックです。車両つり上げ用のクレーンが装備されているものも多くあります。
積載台数2∼5台の単車
2段式になっているもの、1段式になっているもの、もともと2段式の上段を外すと1段式になるものなど、5台までの複数の車両を運べるトラックです。
「単車」という呼び名は、さらに多くの車両を運べるトレーラーと比較した呼び名です。トレーラーは連結して走るのに対して、大型トラックは連結車両のない単独の車、つまり単車ということです。
積載台数6台以上のトレーラー
トレーラーの全長は基本的には19mまでと決められており、キャリアカーは最大6台まで積載することができます。
なお、構造改革特別区域を申請した地域では、工場から港までの区間に限り全長21mまで、最大積載台数8台までに緩和されています。
運送業界で「キャリアのドライバー」と言うと、通常はこのトレーラーのキャリアカーの運転手を指す場面が多いです。
中にはヘッドの上にも1台積載できる「亀の子キャブ(または「亀の子トラクタ」)」と呼ばれるものも。キャビンの上に車がもう1台載っている姿が、親亀の上に子亀が乗っているように見えるため付いた呼び名です。
箱車のキャリアカー
レース車両や開発中の車両のように外部からシャットダウンして運ぶための箱車もあります。外から見たらキャリアカーとはわからず、「トランポ」という呼び名のほうがスタンダードです。
2tクラスからトレーラーまで幅広くありますが、日本ではトレーラーの場合はSuper GTやSuper Formulaなどの国内最高峰レースに参戦するワークスチームのレース車両を運搬する際によく使用されます。
プライベーターチームや市販車レースなどではローダーを使うこともありますが、中型や大型のパワーゲート付きトラックで輸送することもあります。
車両総重量に応じた運転免許が必要
準中型免許∼大型免許
準中型免許が新設された平成29年3月11日以降に取得した普通免許では、車両総重量3.5t未満の自動車しか運転できないため、運転できるキャリアカーはまずないでしょう。
準中型免許では車両総重量7.5t未満まで運転できるため、運転できるローダーも多くあります。
ただし平成19年6月2日以降~準中型免許が新設されるまでの間に取得した普通免許(現5t限定)では、小型のローダーならば運転できる車両もあります。
8t限定でも中型免許があれば、ローダーだけでなく、中には運転できる2段積みの単車もあります。限定なしの中型になれば、運転できるキャリアカーはさらに増えます。
大型免許があれば、積載3台以上のキャリアカーも運転できるようになります。もちろん大型のローダーも存在します。また、トレーラーを運転するにも大型免許は必須です。
キャリアカーは架装(装備)の重量もあるため、積載する車両の重さだけでなく、車両重量にも注意が必要です。大型免許を所持していない場合には、車検証の車両総重量をしっかりと確認しましょう。
けん引免許
キャリアカーに限らず、トレーラーを運転する際にはけん引免許が必要です。複数台を積載するキャリアカーのドライバーを目指すならば、取得しておきたい免許ですね。
キャリアカーの操作に必要な資格は?
巻上げ機運転者(ウインチ)
キャリアカーに自動車を積載する場合は、通常は積載する車両を自走させて荷台に載せるのですが、事故車など自走不能な車両の場合はウインチ(巻上げ機)で吊り下げて載せます。
また、商品車でも自走させずに荷台へ積載する場合は、ウインチを使用して荷台に引き上げます。その際に使用する巻上げ機(ウインチ)を操作するために必要なのが、巻上げ機運転者という国家資格です。
取得するには、事業所や都道府県労働局に登録された研修期間で巻上げ機運転特別教育を受ける必要があります。学科6時間、実技4時間の計10時間で、2日間にわたって行われます。
玉掛作業者
レッカー車の場合は、クレーンを必要とする場面もあります。クレーンは、フック等を掛け外して吊り上げるもので、その作業を「玉掛け(「たまかけ」または「たまがけ」)」と呼びます。
その玉掛け作業を行うために必要となるのが「玉掛け作業者」という国家資格です。
クレーンの吊り上げ荷重1t未満の作業を行える「玉掛け特別教育」と、すべてのクレーンの玉掛け作業が行える「玉掛け技能講習」があります。
自動車は車両重量が1tを超えるものが多いので、クレーンでの作業を行う場合は、玉掛け技能講習を修了していることが必要となります。
小型移動式クレーン運転技能講習
クレーン付きトラックのクレーンを操作するために必要な資格です。
事故車両など自走不能な車両を荷台に積載するにはウインチを使用しますが、事故によって道路から逸脱してしまい、自力で道路に戻れなくなった車両などを道路に戻す際に使用するケースが多いです。
レッカーなどで使用するキャリアカーの運転手を目指すならば、先に挙げた玉掛けとセットで必要となる資格です。
積載台数が多いほど運転操作の難易度が高い!
キャリアカーに車両を積載する際には、基本的に自分で運転して積み込むことになります。ウインチで積み込む場合も、ハンドル操作は行わなければなりません。
1台だけならばコツを覚えて載せ、固縛すれば完了ですが、これが複数台を積み込むとなると、どんどん難易度が上がります。2段積みになれば、操作はより複雑になります。
うっかり手順を間違えてしまえば、積載した大切な車両を傷つけることにもなりかねません。固縛が甘ければ、走行中に落下事故を起こす危険もあります。
また、積載台数が多ければ、当然キャリアカーのサイズも大きくなります。
走行時には街路樹などで擦り傷を作ってしまう危険もありますから、より慎重な運転が求められます。キャリアカーは他のトラックに比べ、運転も作業もより慎重に行わなければならないのです。
まとめ
キャリアカーの種類はたくさんあるけれど、どれもこの自動車社会になくてはならないものです。
キャリアカードライバーを目指すなら、まずは自分が所持している免許で運転できる車両から経験を積んでいくことをおすすめします。