歩合給における社会保険料の仕組み・計算方法とは?【運送企業などの経営者向け】
運送業の従業員に対する雇用形態を決める際、社会保険料について疑問をもつ人は多いのではないでしょうか。
出来るだけ社会保険料を抑えたいと思うはずですよね。
また、社会保険料について考える上で欠かせないのが、「標準報酬月額」。
今回は、そもそも歩合給や標準報酬月額とは何なのか?また、歩合給を残したままで社会保険料を安くする方法はあるのか?など、歩合給と社会保険料についてご紹介します。
Contents
そもそも、歩合給とは?
運送業における給与計算の方法の1つが歩合給制です。
歩合給は、出来高払い制とも言われることがあります。
どちらの名前も聞いたことがある人がほとんどだと思いますが、改めて、歩合給制(出来高制)について整理していきましょう。
「やればやるだけ稼げる」歩合給。
運送業における歩合給は、基本給、割増手当、運行手当などで構成されます。
割増手当、運行手当と呼ばれるものが運送業における歩合給制の特徴です。
走れば走るほど給料が増えるので、サボり癖があったり、休みがちな人は非常に不向きです。
ドライバーで、歩合給制が向いているのは、圧倒的に「長距離ドライバー」です。
先ほど述べましたが、大型トラックでの長距離ドライバーが最も年収が高いです。
これは、長距離ドライバーはほとんど歩合給制を採っているがゆえに、結果的に給料が高くなるということなのですね。
社会保険料はどう決まる?
一般的に、社会保険料とは、厚生年金と健康保険を合わせたものを指し、従業員と雇用者で半分ずつ、ほぼ同額を負担しています。
その社会保険料を考える上で必要なのが標準報酬月額です。
ここでは、標準報酬月額について理解を深めましょう。
標準報酬月額とは?
標準報酬月額とは、社会保険料を決める際に決めるもので、その標準報酬月額に保険料率を掛け合わせることで社会保険料が決定します。
標準報酬月額は都道府県別の標準報酬月額表で見ることができます。
例えば東京都で報酬月額が 114,000~122,000円であれば標準報酬月額は118,000円、報酬月額が 310,000~330,000円であれば標準報酬月額は320,000円です。
最新の、全国の標準報酬月額表はこちらからご覧いただけます。
標準報酬月額に含まれるものは?
標準報酬月額に含まれるものは、金銭(月給・各種手当・年4回以上支給の賞与など)、現物(定期券・社宅・独身寮・食事・賞与としての自社製品など)を問わず、被保険者が事業主から労働の対償として受け取るものの全てです。
一方、標準報酬月額に含まれないものは退職手当、各見舞金、家賃などです。
標準報酬月額が決定するタイミングは資格取得時、定時決定、随時決定、産前産後休業終了時の改定、育休等終了時の改定の5つです。
歩合給を残したままで社会保険料を安くする方法
経営者のみなさんが、社会保険料を安くするためには標準月額報酬を安くする必要がありますよね。
社会保険料を安くするには、報酬を少なくすることしかありません。
固定給+歩合給の場合、固定給の部分は変動できませんから歩合給の給料を少なくしたり、相談の上報酬の支払い時期をずらすなどが手でしょう。
極端な例であれば、4月から6月の歩合給の部分を払わず、7月にまとめて100万円の歩合給の部分を払うのであれば、その後1年間における社会保険料の等級は歩合給の部分を払わなかった部分の等級になるわけです。
歩合給の従業員は給料からどれだけ引かれるの?
経営者の方とは異なり、やはり従業員の方はどれだけ給料から社会保険料が天引きされているかが気になりますよね。
社会保険料の種類(内訳)としては、
- 健康保険料
- 介護保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 労災保険料
となっています。このうち、給料から差し引かれるのは上の4つ、
- 健康保険料
- 介護保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
となります。一番下の、労災保険料は企業側が全額負担をします。4つのうち、上の3つである
- 健康保険料
- 介護保険料
- 厚生年金保険料
が標準報酬月額によって、給料から引かれる額が決まってくるのです。
先ほども述べましたが、4月から6月の3ヶ月間の平均給料(決まるのは7月)により、その後1年間(翌年の8月まで)固定されます。
歩合給においては、歩合給・歩合率の単価も報酬として見なされるため、標準報酬月額に関わってきます。
歩合給における給料は、固定給+歩合給ですから、固定給によって標準報酬月額が変わります。
最新の、全国の標準報酬月額表はこちらからご覧いただけます。
従業員のみなさんが社会保険料を安くしたいのであれば、4月から6月における歩合給の部分を受け取らず、企業側と相談をして7月に受け取ることで、社会保険料をその後1年間安く済ませることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
歩合給の場合、4~6月の歩合給部分を安くするor7月以降に減額分を足す、と言った対策が必要なのだと分かりました。
社会保険料を考えるには、社会保険料とはなんなのかを深く理解することが大切ですね。