道交法の高さ制限の基準を解説!高さ制限を超えるとどうなる?
高さの大きい荷物を輸送する時には、「道交法による高さ制限」を気にしておかなければいけません。
しかし、積み荷の高さについては意外と気にする人が少なく、通信線や高架下への接触事故などが多発しています。
そこで今回は、道交法における高さ制限にについて詳しくご紹介していきたいと思います。
Contents
道交法の高さ制限の基準
道路交通法(道交法)は簡単に言うと交通ルールを定めた法律のことです。道交法には車両の高さに関する規定もあり、荷物が大きいドライバーは道交法で定められた高さ制限に気をつける必要があります。
従来、道交法に指定されている高さの制限は「3.8m」でしたが、近年道交法が一部改正され、「高さ指定道路」とよばれる特定の道路においては、特別な許可を得た車両に限り最高限度が「4.1m」に引き上げられました。
その結果、一般道の最高限度は「3.8m」、高さ指定道路の最高限度は許可を受けた車両が「4.1m」許可を受けていない車両は「3.8m」となりました。
特殊車両通行許可証と制限外積載許可証
道交法に定められた、許可を受けていない一般車両の高さ制限「3.8m」を越えた車両が走行するには指定の許可が必要です。
以下では、そのために必要な許可証を解説します。
特殊車両通行許可証
「特殊車両通行許可証」は一定の大きさや重さを超える車両(特殊車両)または、荷物を乗せた車両の通行に必要な道路管理者の許可証です。
そもそもこの特殊車両通行許可証の目的は、道路の損傷を防ぐことにあります。
道路は一見何をしても壊れず頑丈に見えますが、実はあまりにも大きな重量がかかると損傷してしまいます。
そのため、規定された重量を越えた車両が道路を通行するにはこの許可証が求められます。もしも荷物が重量の規定を越えている場合は忘れずに許可をとりましょう。
制限外積載許可証
「制限積載許可」は、貨物が車両の荷台の長さ、幅または高さの制限を超えていて、かつ貨物がそれ以上小さい状態に分割できないものを運ぶ車両の走行に必要な許可証です。
簡単に言えば、荷物が荷台の制限を超えた大きさであるときにとる許可証なのですが、一つ注意点があります。
この許可が下りるのは、その荷物がほかの手段ではどうやっても運ぶことができない場合に限ります。例えば、荷物が分解すれば小さくなる場合や、工夫すればトラック以外でも運搬できる場合は許可が下りません。
これ以外にも運転に支障がないこと、転落防止措置が十分にとられているなどの条件をクリアして初めて許可が下ります。
許可を受けて走行する時の注意点
許可を受けただけでは高さ制限を超えた車両は道路を走行することはできません。では、実際に許可をとって走行する際にはどのような条件が課されるのでしょうか。
以下では、道交法の高さ制限を越えた車両が走行する際に必要なことをまとめました。
許可証の掲示
まず、許可証は車の前面の見やすい位置に置いておかなければなりません。具体的には、操縦席のフロントガラス付近に置いておくことが決められています。
万が一確認された場合にすぐに許可証を見せることができるのは当然ながら、走行中に車外から見えるようにしなくてはならないと道交法で定められているので、忘れずに窓際に置いておきましょう。
赤色の灯火又は反射器
許可証の提示以外にも、貨物の見やすい箇所に赤色の布または灯火、反射機をつけなくてはなりません。
より詳細に書くと、昼間に走行する場合には0.3m平方以上の赤い布を、夜間に走行する場合には赤い灯火または反射機をつける必要があります。
これも道交法に定められている事項であり、これをやっていないと許可証を持っていても違反となってしまうため気をつけましょう。
高さ制限違反による罰則について
道交法の高さ制限に違反した場合の罰則は、特殊車両の通行に関して定められている罰則に準じて処罰が科されます。この罰則は、違反した運転手だけでなく、事業主にも科されます。
罰則の内容は違反した行為に応じて細かく分類されていますが、例をあげると以下のようになります。
- 特殊車両(高さ制限をオーバーしている車両など)を通行させる際に許可証を備え付けていなかった場合:100万円以下の罰金
- 車両の幅、長さ、高さ、重さなどで制限を超える車両を道路管理者の許可なく通行させた、または許可条件に違反して通行させた:100万円以下の罰金
罰則や違反条件は他にもありますが、いずれも厳しい罰則が科されます。高さ制限違反には気をつけましょう。
高さ超過による接触事故は絶えない
高さ制限を守らず、許可をとらなかったために発生している事故が後を絶ちません。
例えば、この様な事故があります。
「歩道橋の補修修理工事中の足場に無許可運行の特殊車両が接触」
歩道橋は補修修理中であったため本来より高さが低くなっており、高さ制限があった。
歩道橋には「高さ制限あり4.2m」の看板があったものの、通行したトラックの荷物の高さは4.4mであったため歩道橋に衝突した。
この事故の場合は人身事故には至りませんでしたが、万が一死亡者を出した場合は、上記の高さ制限違反の罰則に加えて人を死亡させた際の重い罰則が科されます。
高さ制限を越えていて許可をとらずに走行していると、このように、ちょっとした工事を行っているところで接触事故を起こしてしまう可能性があり非常に危険です。
高さ制限を越えた車両を運転する場合には必ず許可をとるようにしましょう。
高さ制限を守って安全輸送を心がけよう!
道交法で定められている高さ制限は、不要な事故を防ぐために定められるものです。つまり、道交法の高さ制限を守らないと、思わぬところで事故を起こす可能性があるということです。
事故を起こすと他の人の安全を脅かすだけでなく、運転者自身にとっても荷物や車両を破損させるといったデメリットがあるので高さ制限に関する規定はしっかり守りましょう。
また、高さ制限を超過している特殊車両は通行するルートも事前に決めらていることがあります。なぜならば、道路上に高さ制限のある障害物があるためです。
こういったルールを面倒くさがって守らないと接触事故を起こしてしまいます。実際に指定された経路を無視して高架橋に衝突した事例もあります。
無意味な事故を起こさないためにも必ず高さ制限を守り、経路などを指定された場合は素直に守りましょう。
まとめ
道路交通法(道交法)には高さ制限があり、高さ制限を越えた荷物を積んだ車両は事前に許可を受けなくてはなりません。
許可を受けないと思わぬところで不要な事故を起こしてしまいかねないので、必ず許可をとり、規則を守るようにしましょう。