緑ナンバー取得に関する法律について!緑ナンバーを取得するには?
トラックの緑ナンバーについてどのような法律があるのかご存知でしょうか。事業として輸送を行うトラックには緑ナンバーの装着が義務となっています。
そこで今回は、分かりにくい緑ナンバーに関する法律についてご紹介します。
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そもそも緑ナンバーとは?
緑ナンバーは「営業ナンバー」とも呼ばれていて、「他人の需要に応じて貨物や旅客を輸送し、その対価として報酬を得る事業」のために必要な許可を得ている事業者の車両に取り付けられるものです。
トラックに関していえば、貨物自動車運送事業の許可を取得しなければ、緑ナンバーを付けることができません。
逆にいうと、緑ナンバーを付けたトラックを使用している会社は、貨物自動車運送事業の許可を受けているという証明です。
緑ナンバーは運送業を行う場合には必須のものであり、取得せずに営利目的の運送を行うと、貨物自動車運送事業法違反となり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または併科という罰則があります。
また、緑ナンバーを取得していない会社は運送業を行うことができないため、宣伝行為をすることもできません。
具体的には、車体に「○○運送」といったような運送を宣伝する社名を入れることも宣伝行為にあたるため、してはいけないことになるのです。
白ナンバーでは輸送行為は行えない!
緑ナンバーでなければ業として運送行為をすることはできないと書きましたが、実際に白ナンバーのトラックやバスは存在します。
それは何かといえば、もちろん「業として運送行為を行っていない」車両です。
白ナンバーのバスは、自社の社員や客の送迎などを「運賃を取らずに」行っています。つまり無料送迎バスです。
白ナンバーのトラックは、自社製品などを「運賃を取らずに」納入するために使用するもの。
有名なのは山崎製パンのトラックですね。運賃を取らずに白ナンバーで配送するため「自社便」とも呼ばれています。
また、白ナンバーのダンプを見かけることもよくあると思いますが、輸送することで利益を得ているのではなく、運んだ土砂などを販売することで利益を得ているためです。
もちろんダンプでも、運賃を取っていれば緑ナンバーが必要です。
けれど実態として、ダンプ業界では「土砂等を自分の所有物という形で白ナンバーダンプに積載して、それを自社製品として納入する」という、限りなく黒に近いグレーな形態が存在しているのが現状です。
とはいえコンプライアンスが重視化されている昨今、この形態にテコ入れされる日がいつ来てもおかしくありません。
緑ナンバー取得について
取得条件
緑ナンバーの取得には、いくつもの条件があります。
まずは、運搬車両を5台以上保有していること。そして、その車両を運転する従業員が5人以上必要です。
次に、運行管理者を選任すること。運行管理者資格を有する従業員を、車両台数30台未満の事業所で最低1人、運行管理者として選任しなければなりません。
なお、運行管理者が1人しかおらず、補助者もいない場合は、運行管理者はドライバーと兼務できません。つまり、運転手5人と運行管理者1人、合わせて6名が必要です。
事業所が適切な立地であることも条件です。本社は別の所在地で小さな事務所でも構いませんが、車庫としての基準を満たし、かつ休憩所が確保されていなければなりません。
そして、最も重要なのが資金です。
最低でも人件費や燃料費、修繕費などの2ヶ月分、家賃や土地賃料、車両費用割賦月額の6ヶ月分、自動車税や取得税などの税金、自賠責や任意保険料などの1年分が必要です。
このほかにも、経営者が1年以上の懲役または禁錮を受けてから5年経過していること、申請する会社およびグループ会社が緑ナンバーの取り消しから5年を経過していることなどが必要です。
取得方法
まず、運輸支局に申請します。条件を満たしたら、残高証明などの必要な書類を揃え、運輸支局に申請書類を提出します。
申請したら、申請月以降の奇数月に行われる法令試験に合格しなければなりません。不合格の場合は、翌々月にもう一度受けることができます。
それでも不合格の場合は、残念ながら申請を取り下げなければなりません。試験合格後に申請書類の審査が開始されます。
その間、運輸支局から再度の残高証明提出が求められます。これは申請時の資金を常に確保できているかを確認するためなので、求めに応じなければなりません。
無事に審査に通れば許可通知が発行されますので、登録免許税を支払います。その後、営業開始に向けて運行管理者と整備管理者の選任届を提出し、運輸開始前届を提出します。
運輸支局から運送業許可証と事業用自動車等連絡書が交付されたら、車検場に車両登録をして、ようやく緑ナンバーと車検証が交付されます。
取得費用
資金の他にかかる費用は、登録免許税が12万円。その他に印紙や書類を揃える費用、最低5台分のナンバープレート代を合わせて、ざっくりと計算すると13万円程度です。
ただしこれは個人で申請する場合の費用で、行政書士に依頼すると、プラス50万円ほどとなります。
緑ナンバー取得のメリットとは?
会社の信用性の向上
緑ナンバーは、国から許可を受けた事業者であるということです。現在は、公共事業だけでなく、一般企業でも緑ナンバーにしか業務を依頼しないところが増えています。
厳しい審査を通って許可を取得した緑ナンバーは、会社の信用性の証なのです。
融資のハードルが下がる
白ナンバーで営業行為を行うような会社には、当然銀行も融資を渋ります。運送業を行うための最低限の法律すら守れていない会社と判断されるからです。
これが営業許可を受けているということになれば、信頼できる会社と判断されることになり、融資が受けやすくなります。
運送依頼の増加
白ナンバーで禁じられている営業行為も緑ナンバーならば堂々と行えるわけですから、広告宣伝活動もできます。
また、付き合いのある同業他社から、白ナンバーには紹介できなかった仕事を回してもらえることにも繋がります。運送業は、横のつながりが非常に大きな業種なのです。
各種税金
緑ナンバーは白ナンバーに比べて、自動車税・自動車重量税が安くなります。車両総重量によって違いはありますが、最低でも1台につき1万円以上の違いがあります。
緑ナンバーの貸し借りは違法行為!
「ナンバー貸し」「名義貸し」とは、運送事業許可を得ていない人が所有しているトラックを、運送事業許可を得ている事業者のトラックとして登録してもらって、
その事業者のトラックとして緑ナンバーを付けて乗務するという違法行為です。主に「持ち込み」の形態で行われますが、持ち込みすべてが違法なわけではありません。
運送事業者のドライバーは、原則として常時選任運転者でなければいけないと決められています。
この場合の「常時選任運転者」とは、必ずしもフルタイムの正社員である必要はありません。要は「会社が直接雇い入れて給与を支払っている者」であることが条件です。
ただし、直接雇用でも「日雇い・2か月以内の契約社員・14日以内の使用期間中の者」は常時選任運転者から除外されます。
簡単にいうと、会社が直接雇用していない人を会社名義のトラックに乗務させることは「ナンバー貸し」の行為に当たるのです(ただし派遣および出向は除きます)。
もちろん違法ではないとされる持ち込みもあります。
「個人償却制」と呼ばれる方法で、会社がそのドライバーを雇用して、売り上げから車両費や維持費、燃料費、保険料などを差し引き、歩合制で給与を支払うという制度です。
ただし、この個人償却制はグレーゾーンです。表面上は給与という形に繕っていても、実態として名義貸しと判断されれば違法です。
たとえばドライバーを社会保険や雇用保険に加入させていないなどの状況であれば、雇用の実態があるとはいえないのは一目瞭然です。
つまり、常時選任運転者でない者を自社で登録しているトラックに乗務させることは違法行為ということです。
なお、派遣社員の場合はナンバー貸しには当たりませんが、だからといって派遣業許可を取得していない会社の人を派遣という形で受け入れてしまうと、今度は労働者派遣法違反となります。
違法なナンバー貸しを行って発覚した場合、会社には3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその両方が科されるだけでなく、30日間の事業停止処分が下されます。
まとめ
緑ナンバーは、運送業に必須なものです。競争の激しい運送業界で生き残るためにも、法律を順守したクリーンな営業を心掛けましょう。