運送業の行政処分は点数制度によって決まる!行政処分の内容も解説
運送業界では違反行為を行うと点数制度を用いた行政処分が行われます。行政処分は累積した点数によって非常に重い処分があります。そのため点数には注意しておく必要があります。
そこでここでは運送業界が行政処分を受ける点数について紹介していきたいと思います。
Contents
運送会社に対する行政処分とは?
監査が行われ、その結果「悪質で重大な法令違反」があった運送事業者に対しては行政処分が行われることになります。
監査自体は営業所単位で行われるのですが、もしどこかの営業所で法令違反があった場合は、同じ会社の他の営業所にも監査が入る可能性が高くなっています。
主な法令違反には以下のようなものがあります。
- 運行管理者の未選任
- 整備管理者の未選任
- 全運転者に対して点呼未実施
- 監査拒否、虚偽の陳述
- 名義貸し、事業の貸渡し
- 乗務時間の基準に著しく違反
- 全ての車両の定期点検整備が未実施
どのような行政処分があるの?
車両の使用禁止
車両停止処分には「処分日車数制度」が適用されています。これは1台の車両を1日運行停止すれば「1日車」と計算するものです。営業所に属している車両数や違反行為によって処分日車数は変わります。
一度行政処分を受けて3年以内にさらに違反をした場合は悪質度合が高いとみなされて処分日数が2倍になることがあります。
また、「200日車を超える車両停止処分」を受けた場合は地方運輸局のホームページなどで事業者名が公表されるようになっています。
事業の停止
事業停止は悪質で重大な法令違反を行った事業者に対して一定期間事業を停止させるというものです。車両停止処分の場合は車両の運行はできませんが営業は可能です。
しかし事業停止処分となると営業自体ができなくなります。基本的には1週間、2週間、1ヶ月という単位で行われます。
重い要件の違反であればすぐにこれに該当する場合がありますし、累積点数が51点以上になった場合もこの処分が行われます。
違反を重ねて改善指示が出されても改善しないということが大きく影響しています。
運送業許可の取り消し
累積違反点数が3年間で81点を超えるほどになるともっとも厳しい行政処分である「事業許可の取り消し」が行われます。
これは文字通り運送業を営む許可が取り消されるというもので、事業を続けていくことができなくなるものです。
81点を超えるほどの累積違反点数ということは何度も行政処分が行われているものの改善しなかったということになります。それが悪質ととられるのでしょう。
累積点数による行政処分の違いについて
累積点数20~30点
累積違反点数が20点を超えると「ネガティブリスト」に事業者名が公表されます。
これは運輸局で4半期ごとにホームページ上で事業者名が公表されるというもので、ここに名前が載ってしまうと会社としての信用は一気に下落してしまいます。
累積点数31~49点
累積違反点数が30点以下であれば270日車以上の処分日車数が科されなければ事業停止になることはありませんが、累積違反点数が31点を超えていると180日車以上の処分日車数が科されると事業停止になります。
つまり31点を超えてくると「悪質である」と強く判断されることになり罰則もどんどん厳しくなってくるのです。
累積点数50点以上
累積違反点数が50点を超えてくるとこれだけで事業停止が確定します。これは違反を重ねるたびに改善指示を受けても改善しないと判断されたもので、営業活動が何もできなくなってしまいます。
また、事業停止の行政処分を受けると業界内でもすぐにその情報が広がるために復帰しても営業活動に大きな支障がでるようになります。
累積点数80点以上
累積違反点数が81点を超えると事業許可の取り消しとなります。事業者としては事実上の廃業ということになります。
ここまで来るにはかなりの違反が累積されており、しかも51点を超えたところで事業停止の処分も受けた上でということになります。そのため改善の可能性がない事業者として判断されてしまうのです。
行政処分に関わる累積点数について
累積期間は?
違反点数は法令違反を起こした営業所に対して科されるもので、累積していきます。違反点数が累積する期間は3年です。
この3年の間に違反点数が累積していくと重い行政処分を受けることになります。
例外として、
- 処分日以前の2年間点数付与がない場合
- 安全性優良事業所(Gマーク認定を受けている事業所のこと)
では違反点数が加算されても、その後で何も違反を起こさなければ2年間で点数が消去されるということがあります。
事業者が変わっても点数は引継ぎ
営業所長や事業者が別の人に変わったとしても、事業所や営業所がそのまま存続しているのであれば違反累積点数は引き継がれていきます。リセットされるわけではないので注意しましょう。
悪質で重大な違反ほど重い行政処分に
近年運送業界では過重労働、超過労働などが問題視されたということもあって平成30年から行政処分の処分量定が引き上げられています。
さらにトラックなどの法令順守を徹底させるための巡回指導が行われています。
- 総合評価が著しく悪い事業者
- 新規参入後の総合評価が継続して悪い事業者
- 健康診断受診や社会保険加入等の基本項目が不適切である事業者
といった点に関しては特に強化されており、事業者が取り組むことが強く望まれています。行政処分の改正によって罰則はかなり厳しくなっており、処分日車数は最大で5倍まで引き上げられています。
また、巡回指導が強化されていることで監査を受けて行政処分になるという事業者が増加傾向にあると言われています。
絶対に避けたい行政処分
20点以上の違反累積点数によって運輸局でネガティブリストに事業者名が公表されてしまうと会社としては大きなイメージダウンとなります。
もちろん車両停止処分や事業停止処分を受けると直接的にダメージを受けることになるのですが、そこから復帰したとしてもイメージが低下していることでそれからの営業活動に支障がでるのです。
「コンプライアンスを遵守しない会社」というレッテルを貼られてしまうとそれを取り除くのには長い年月がかかります。
運送業界で「信用」は非常に重要なものです。行政処分を受けるということはそれをすべて失うということにつながるのだと認識しておきましょう。
まとめ
運送業界において行政処分は強い意味合いを持っています。
悪質だと認定されると
- 車両停止処分
- 事業停止処分
- 事業許可の取り消し
などまで行われるものですので、改善指示が出たらできる限り早く対処するということが重要になります。法令違反を行わないように心がけていきましょう。