ダンプの過積載・目視の目安と予防策は?違反重量と罰則の割合とは
ダンプの過積載は危険性を高めるだけでなく法令違反になる行為です。その取り締まりも年々厳しくなっており、罰則もドライバーだけではなく、事業者や荷主にも課されるものとなりました。
ここではダンプの過積載を目視で確認する際の目安などについて紹介していきたいと思います。
過積載の定義と問題点
過積載とは
過積載とは「道路運送車両法」に規定されているトラックの荷台部分に積載する量が最大積載量を超えていることを意味しています。
それぞれの車種によって最大積載量は違っており、車検証などで確認することができます。過積載は事故の危険性が高まるだけでなく法令違反となります。
過積載の問題点
トラックのエンジンやブレーキなどの性能は最大積載量を守っている状態で発揮されるものです。過積載の状態では
- ブレーキの利きが悪い
- 思うように加速できない
など運転に支障がでることがあります。また、道路や橋にダメージを与えることがあるだけでなく、過積載している積み荷が落下して事故の原因となることもあります。
ダンプのサイズと最大積載量の目安
小型ダンプの最大積載量
全長 | 全幅 | 全高 | 最大積載量 | 車両総重量 |
4.7m以内 | 1.7m以内 | 2.0m以内 | 3.0t未満 | 5.0t未満 |
ダンプカーの中でももっとも小さい小型ダンプでは一般的に2~3tくらいの積載量となっています。街中を走るのに便利なタイプで利用されている数も非常に多いのが特徴です。
たいていは荷台が使いやすいように広く取られているため、積み荷を載せようとすると最大積載量を超えて積載できてしまうために注意が必要です。
4トンダンプの最大積載量
全長 | 全幅 | 全高 | 最大積載量 | 車両総重量 |
12.0m以内 | 2.5m以内 | 3.8m以内 | 6.5t未満 | 11.0t未満 |
最大積載量は6.5tであるものの、積載量が4~5t程度のものも4tダンプと呼ばれたりすることもあり、定義があいまいな部分があるのが中型ダンプです。
適度な運転のしやすさとある程度の積載量を誇っているために使い勝手が良い大きさとして多く利用されています。こちらも積載しようとすると積載できてしまうために注意が必要です。
10トンダンプの最大積載量
全長 | 全幅 | 全高 | 最大積載量 | 車両総重量 |
12.0m以内 | 2.5m以内 | 3.8m以内 | 6.5t以上 | 11.0t以上 |
最大積載量6.5t以上のものを大型ダンプと呼び、10tダンプと呼ばれることもあります。
最大積載量が9~11tのものも10tダンプと呼ばれ、大規模な建設現場や工事現場などで多く利用されています。
ダンプの過積載を目視で確認する際の目安
土砂・砕石・建設資材
本来であれば自重計などで重さを計測するべきなのですが、ある程度は目視で確認することも可能です。
「土砂、砕石、アスファルト合材などの建設資材」の場合はならした状態で平ボディの煽りの高さまで目いっぱいに積載しているとほぼ最大積載量となります。
これを超えているようだと過積載の可能性があります。
アスファルト・コンクリート片
「アスファルト・コンクリート片・アスファルト切削がら」などであれば平ボディの煽りの高さ+20cmまでが目安となります。これを超えているようであれば過積載の可能性があると言えます。
土砂禁ダンプの不正利用
もっともわかりやすい過積載がこのパターンです。土砂禁ダンプは側面や後方の煽りがかなり高くなっています。
これはプラスチックやダンボールのような大きくてかさばるものの比重が軽いものを運ぶためのダンプです。
そのため、この土砂禁ダンプの煽りの高さまで土砂を積載した場合などは間違いなく過積載となります。
そもそも土砂禁ダンプに土砂を積載して走行することが禁止されていますので、法令違反となります。
不正利用して土砂禁ダンプで土砂を運ぶ運送業者がいたこともありますが、絶対に許されるものではありません。
ダンプ荷台の改造
ダンプの荷台部分を改造することで積載量を増加させたものは当然不正改造となりますので禁止されています。
煽り部分を深く改造したもの、荷台そのものを深いものに取り換えた場合、土砂禁ダンプに土砂を積載できるようにしたものなどはすべて違反行為です。
過積載に対する罰則の目安
過積載の罰則の対象となるのは
過積載を行っていた車両が検挙された場合は
- ドライバー
- 事業主
- 荷主
それぞれに罰則が与えられます。ドライバーは過積載になっていることを知っていた、知らなかったことは関係なく罰せられます。
事業主はその事業所の「運行管理者資格者証」の返納命令が出され、資格が取り消されてしまうことになります。
荷主が過積載になっていることを知っているのに阻止しなかった場合は
- 「協力要請書」
- 「再発防止命令」
が出されます。複数回行っているときや荷主が指示したなど悪質と認められた場合は罰金刑や懲役刑が科される可能性もあります。
最大積載量5割未満の違反
超過重量が最大積載量の5割未満の場合は「反則点数1点と反則金3万円」が科せられることになります。
最大積載量5割未満10割以上の違反
超過重量が最大積載量の5~10割の場合は「反則点数3点と反則金4万円」が科されることになります。
最大積載量10割以上の違反
超過重量が最大積載量の「反則点数6点と10万円以下の罰金」が科せられます。つまり一度で免許停止になるということです。
また、大型ダンプで複数回過積載を行っているドライバーやその内容が悪質と判断されると「6ヶ月以下の懲役、100万円以下の罰金」となる場合もあります。
ダンプの過積載を予防するには
過積載予防の意識を強く持つ
運送業界は他の会社との価格競争のために少しでも「多く積載したい」という思いがあります。そのためドライバーが過積載だなと判断しても事業主や荷主の利益のために過積載の指示が出されることもあります。
しかし過積載で検挙された場合は事業主や荷主も罰則を受けるものの、もっとも直接的に違反点数や罰金などの罰則を受けるのはドライバーです。
取り締まりが厳しくなっているということを踏まえた上で過積載を拒否するという意識を普段から持つことが重要なのです。
日常点検
建設現場、運送業界、倉庫業などでは
- トラックの日常点検
- 運搬した荷物
- 積載量
などを記録をすることが義務付けられています。その記録は保管しておかなければいけないため基本に忠実に勤務をすれば過積載は防ぐことができます。
まとめ
過積載をすることで運搬効率を上げて利益を得ようという考えがあるかもしれませんが、過積載は事故の危険性を高めるだけでなく、法令違反となるため厳しい罰則を受けるものでもあります。
ドライバー、事業主、荷主すべてが罰則を受けることになりますので決して過積載をしない、させないということを守って運転をしましょう。