運送会社に必須の保険とは?自賠責保険と任意保険の違いについても解説!
運送会社ではもしもに備えた保険は大変重要ですが、内容についてよく分からないことが多いですよね。
そこで今回は、気になる運送会社の保険について詳しくご紹介したいと思います。
Contents
運送会社に保険は重要!
運送会社は、お客様の大切な荷物を預かって運ぶことを仕事にしている企業。日本経済においてとても大切な業種ですが、そこには大きなリスクも伴います。
お客様の大切な積み荷に何かがあれば、もちろん賠償しなくてはなりません。
さらに、トラックという頑丈な自動車は、万が一の事故があれば、相手に大きなダメージを与えてしまう凶器にもなり得るものです。
ひとたび事故を起こしてしまったら、交通事故と商品事故、どちらも大きな賠償が生じるリスクがあるのです。
もちろん必然的に、マイカーでの事故よりも賠償金額は大きくなってしまいます。
そんなリスクを考慮すると、運送会社にとって保険はとても重要なものだということが自ずと見えてきます。
運送会社で起こりえる賠償について
トラックの事故に関する賠償
運送会社は、小さな会社でも複数のトラックを持っているものです。令和2年現在、運送会社を立ち上げるためには、最低でも5台のトラックが必要です。
車両を複数所持していて、それぞれを運転するドライバーがいるということは、事故のリスクはドライバーの数だけ増えます。
ドライバーがどれだけ慎重に運転していても、全くの無事故で経営していくことは、不可能と言っても過言ではないでしょう。
さらに先述したように、頑丈なトラックは事故相手へのダメージが必然的に大きくなりがちです。死亡事故など起こしてしまえば、その賠償額は大変な額になります。
また、店舗などに突っ込んで営業できないほどのダメージを負わせてしまう危険もあります。時には億を超えるような賠償を負うことも有り得るのです。
荷物に対する賠償
お客様は確実に届く前提で契約をしているわけですから、預かった荷物を無事に届けることができなければ、当然賠償責任が生じます。
もちろん交通事故で積み荷にもダメージを与えてしまうというケースもありますし、それだけでなく、場合によっては雨漏りや荷崩れで破損してしまうようなことも。
作業中の不手際による破損や汚損も、運送業界ではよくあることです。
預かった積み荷を無事に届けることができなければ、やはりその損害賠償は運送会社が負わなければなりません。
さらには、荷下ろし中の荷物を無関係の通行人にぶつけて怪我をさせてしまった場合なども、運送会社が責任を負うことになります。
運送会社に関する保険について
車両保険
自賠責保険
自賠責保険とは「自動車損害賠償責任保険」の略で、原付・二輪を含む公道を走るすべての自動車に加入が義務付けられている保険です。加入が義務のため「強制保険」とも呼ばれます。
自賠責保険は交通事故の被害者を救済するための制度で、被害車両、建造物などは賠償できません。また、賠償額にも上限があります。
基本的には120万円が上限ですが、重度の後遺障害で最大4000万円、被害者死亡で3000万円です。
金額だけ見れば大きく感じるかもしれませんが、実際にはもっと多額の賠償が生じるケースも多々あります。
過去最高額の判例では、被害者に60%の過失が認められたにもかかわらず。被害者の生涯で失われた損失を考慮して賠償金が数億にのぼる判決も過去に出ています。
任意保険
自賠責でカバーできない部分をカバーするのが、マイカー所有者も大半が加入している任意保険です。
自身の怪我や車両、建造物等だけでなく、自賠責の上限を超えた金額の保障を受けるためにも重要な保険です。
とはいえ、運送会社の場合は自車を保障する車両保険には加入していない会社も少なくないので、注意が必要です。
車両保険に加入していない場合、相手がいる事故なら自車の修理は過失割合に応じて相手方の保険から支払われますが、自損事故の場合はドライバーが負担することになります。
また、大手運送会社の場合は、数多く所有しているトラックの台数分の保険料を払うよりも、有事の際に自社の資金で処理をしたほうが安いという理由から、任意保険に加入していないこともあります。
こうした自社資金で損害を賠償する制度を自家保険と呼びます。万が一に備えてあらかじめ資金を積み立てておき、それを賠償の費用に充てるのです。
運送業者貨物賠償責任保険
運送業界ならではの保険として、貨物賠償責任保険というものがあります。積み荷に万が一の事態が起きたときに備える保険です。
扱っている業者は多数あり、共済制度もあれば大手損保会社の商品もあります。
補償内容は契約により様々で、掛け金が安く最低限の保障のみという保険もあれば、掛け金は高額でも火災や水害の場合も保障するサービスもあります。
積み荷の破損や汚損などの経験が全くない運送会社は皆無といっても過言ではありません。
不安定な荷締めによる荷崩れだけでなく、フォークリフトの爪でうっかり刺してしまうような事故もあります。
もちろん交通事故によって大きなダメージを与えてしまうこともあれば、雨漏りによる水濡れも。
貨物賠償責任保険に加入していない運送会社もありますが、そういった会社はドライバーが賠償責任を負うことになるケースも多々あります。
貨物保険は契約方法によって保険料が高額に!
貨物保険には様々なものがあります。
輸送中の事故や積み置き中の盗難、火災などによる限られた損害のみをカバーするものと、雨や雪などによる水濡れ、
破損や汚損、冷凍冷蔵車に積載した商品が機械の故障などで適正な温度を保てなかった場合の損害など、幅広くカバーするものです。
もちろん保障の範囲が広がれば、保険料もそれだけ高額になります。また、任意保険と同様に免責金額が設定できるので、その金額によっても保険料は変動します。
さらには特約を付けることで、保険料は大きく変動します。事業内容に合わせて、どういった契約内容を選ぶのかをしっかりと判断しないと、保険料が跳ね上がってしまいます。
なお、契約方式は2通りあります。事業者または事業所ごとに所有するトラックすべてをまとめて契約する方式と、1台ずつ契約する方式です。契約方式によっても保険料は変わります。
まとめ
運送業を営むならば、保険は必須といえるものです。どんなリスクが起こり得るのか、業務内容と照らし合わせて判断することが大切です。