トラック運転手の最低賃金はいくら?最低賃金の計算方法について紹介!
運送業界の給与形態は他業種になはないものが多く、長時間労働にもなりやすい環境のため、自分の賃金が最低賃金以上なのか気になりますよね。
そこで今回は、トラック運転手の最低賃金について気になることにお答えします。
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トラック運転手は特殊な勤務形態
運送業界には様々な仕事があります。
ルート配送のように毎日同じ仕事をする場合は給与もわかりやすいこともありますが、フリーや長距離、チャーターなど、常に同じ仕事ではないこともあります。
長時間の待機を伴う仕事もあれば、家に帰れるのは週に1日程度という仕事もあり、かと思えば毎日同じ時間できっちり帰れる仕事もあるのが運送業界なのです。
このように様々な勤務形態があり、さらには会社の方針もそれぞれ違うため、給与形態も歩合給や見込み残業込みなど、様々な形態が存在しているのです。
最も多いのは日給月給制と思われますが、基本給プラス各種手当という形態も少なくありません。
ドライバーの最低賃金がわかりにくいのは、こうしたところに理由があります。
トラック運転手の最低賃金は?
トラック運転手の最低賃金は個別に決められているわけではなく、最低賃金法によって地域別に定められている最低賃金が適用されます。
つまり、コンビニやスーパーでのバイトに適用される最低賃金と同額です。例えば令和元年10月の最低賃金は、最も高いのは東京都の1013円/時です。
最も安いのは790円/時で、青森、岩手、秋田、山形などの東北や、鳥取、島根、愛媛、高知、そして福岡を除く九州と沖縄県が該当します。
トラック運転手の給与から最低賃金を知るためには、時間あたりの給与を算出する必要があります。
給与形態がどうあれ、1時間あたりの賃金が最低賃金に届いていなければ、それは違法となるのです。
最低賃金法に違反した会社には罰則(50万円以下の罰金)が定められています。
最低賃金の計算方法について
基本給となる金額を割り出す
最低賃金は基本給から算出することが大前提ですが、この基本給として含む手当と含まない手当があります。
まず、時間外手当や休日手当、深夜手当などは基本給を基に算出されるものなので、含みません。
また、慶弔手当や結婚祝い金などの臨時的に支払われるもの、毎月支給されるものではない賞与なども含みません。
家族手当や通勤手当、精勤手当も原則として含みませんが、家族手当が家族のあるなしにかかわらず従業員一律に支払われていたり、
精勤手当が遅刻や欠勤があっても支払われていたり、通勤手段や距離にかかわらず一律に通勤手当が支払われていたりするようなら、これらの手当は基本給に含みます。
職務手当や乗務手当、役職手当など、毎月定額で支払われる手当は基本給に含んで算出します。
無事故手当については厚生労働省から明確な指定は出ていませんが、事故を起こしても減額がないような性質ならば、毎月定額で支払われるものと判断されて、基本給に含まれると考えられます。
事故を起こすと一定期間減額されるようでしたら、無事故手当は基本給に含みません。
このように、「居住地や家族構成、就労時間や勤務日数などにより変動するもの」は基本給に含みませんが、「毎月定額で支払われるもの」は含むと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
時間給制の場合の計算方法
時間給制の場合は、最低賃金の計算は最も簡単です。時給単価が、所属している事業所所在地の最低賃金を満たしているかを確認すればいいのです。
各都道府県の最低賃金は、厚生労働省のサイトで確認することができます。なお最低賃金は、おおむね毎年10月に改定されているので、併せて確認しておきましょう。
月給の場合の計算方法
月給の場合、最低賃金は1時間あたりの賃金を計算することで確認できます。
総支給額から基本給に該当する金額を算出したら、1ヶ月の平均所定労働時間数で割ることで、1時間あたりの単価を割り出すことができます。
たとえば月給25万円だとして、その中に時間外手当20,000円、通勤手当10,000円、無事故手当10,000円、乗務手当20,000円が含まれているとします。
この場合、時間外手当と通勤手当、無事故手当は基本給に含まれないため、基本給に該当する金額は250,000円(20,000円+10,000円+10,000円)=210,000円となります。
1日の所定労働時間が160時間だとしたら、210,000円÷160時間=1312.5円が1時間あたりの単価になります。
日給の場合の計算方法
日給の場合は、基本給相当額を稼働日数×所定労働時間で割ることで算出できます。
日給7,500円、所定労働時間8時間、稼働日数22日、乗務手当が月額10,000円だとすると、7,500円×22日+10,000円÷(8時間×22日)≒994円です。
出来高、請負制の場合の計算方法
出来高(歩合制)や請負制の場合は、時間外や深夜・休日割増賃金部分とそれに該当する稼働時間を引き、所定労働時間に該当する時間数を算出します。
たとえば月額280,000円が支給されたとして、そのうち50,000円が時間外と深夜手当、10,000円が精勤手当だったとして、1ヶ月あたりの所定労働時間が176時間だったとすると、
280,000円-(50,000円+10,000円)÷176時間=1,250円となります。
もしも最低賃金を下回っていた時の解決策
会社との話し合いで解決
上記の方法で算出した金額が最低賃金を下回っていた場合は、それを根拠として会社と話し合うという方法があります。
いきなり喧嘩腰でいかずとも、「自分なりに最低賃金を算出したらこういう結果が出たが、会社ではどのように最低賃金を算出しているのでしょうか」と確認する形から入るのもいいですね。
その回答に納得できればそれでいいですが、本来含むべきではない手当などが算入されていたとしたら、そこを指摘していきましょう。
言いくるめられないよう、最低賃金法をしっかりと確認してから臨むことをおすすめします。
労働基準監督署への通報
会社に相談しても改善されなかったり、言いくるめられてしまったりしたら、労働基準監督署に相談という形で通報する方法もあります。
労働基準監督署とは、会社が労働基準法や関係法令を遵守しているかどうかを監督する行政機関です。
もし会社の行為が違法だとしたら、どのように対処すればよいかアドバイスをもらえることはもちろん、場合によっては会社に行政指導や是正勧告などを行ってくれることもあります。
転職
会社や労働基準監督署に相談しても改善がみられない場合や、相談したことで居づらくなってしまった場合、そもそも相談すること自体に気乗りがしない場合などは、思い切って転職してしまいましょう。
運送会社は空前の人手不足ですから、経験者なら採用される可能性はかなり高いです。もし今の会社で新たに資格を取得していたとすれば、それも転職の武器になります。
ただし資格取得後すぐに退社となると、取得にかかった費用を請求されるおそれもありますので、転職のタイミングは十分に考えてから行動に移しましょう。
年収、月収共に改善傾向の運送業界
運送業界はかねてより報道されているとおり、空前の人手不足に見舞われています。
そのため、ドライバー確保に向けて賃金を改善している運送会社も増えており、ドライバーの賃金は上昇傾向にあります。
また、トラック協会が働き方改革推進に取り組んでいることもあり、ドライバーの労働環境も改善しつつあります。
このような背景から、近年では最低賃金を下回るような給与設定をしている運送会社は少なくなってきています。
物流費用も上昇傾向にあるため、運送業界全体としては、ようやく改善の兆しが見えてきたといったところでしょうか。
まだまだブラックな会社も存在しないわけではありませんが、しっかりと見極めて選ぶことで、最低賃金を下回るような会社への就職を回避することができるはずです。
まとめ
自分の給与が最低賃金を下回っていないかどうかを判断することは、将来を考える上で非常に重要なことだといえます。
本当に従業員を大切にしている会社かどうかを見極めるためにも、自分の給与が適正かどうかをしっかり把握しておきたいですね。