運行管理における休憩時間と連続運転時間の関係とは?試験問題に多い休憩時間について分かりやすく解説!
運行管理者はそれぞれの事業所に置くことが義務付けられているものです。しかし資格取得を目指す人にとって休憩時間や連続運転など覚えることは多くあります。
ドライバーが働く時間はかなりややこしい部分もあります。そこでここでは運行管理者試験にもよく出題される休憩時間や連続運転について紹介していきたいと思います。
Contents
運行管理における休憩時間とは
休憩時間の定義
休憩時間とはドライバーが自由に過ごすことができる時間のことを言います。
食事や休憩、仮眠など自由に過ごすことができる時間であり、「労働時間には入らないが拘束時間には入る」というものです。ちなみに荷待ちなどの待機中は休憩時間には含まれません。
休息期間との違い
休息期間はドライバーが勤務を終了して次に出勤するまでの時間のことを指します。もちろん仕事で運転することもなく、仕事の待機をしなければならないこともなく食事、睡眠、娯楽など何をしても自由です。
改善基準告示によればドライバーの健康状態を保つためには勤務終了後は「継続して8時間以上の休息」が必要とされています。
36協定と休日
休日は休息期間に24時間を加算した時間でなければならず、「30時間を下回ってはいけない」という決まりがあります。
休憩時間の管理
連続運転時間は4時間まで
連続で4時間運転をしたら必ず30分以上の休憩が必要となります。つまり4時間半のうち30分は休憩に当てるということになります。
4時間につき30分の休憩時間が必要
では勤務は「運転」に限るかというとそうではなく、「労働基準法関連法令第34条第1項」によると、
「休憩時間とは単に作業に従事しない手持時間を含まず労働者び権利として労働から離れることを保障されて居る時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取り扱う」とあります。
つまり運転以外にも荷物の積み降ろしや積荷の確認をしている時間も労働時間に当たるということになるのです。
休憩時間の取り方バリエーション
休憩時間は分割できる
しかし運転状況によっては30分以上の休憩を一度にとることが難しい場合もあります。そういったときは「1回10分以上」という条件つきで分割することが可能です。例えば、
- 2時間運転+15分休憩+2時間運転+15分休憩
- 1.5時間運転+10分休憩+1.5時間運転+10分休憩+1時間運転+10分休憩
- 1時間運転+10分休憩+2時間運転+10分休憩+1時間運転+10分休憩
ということが可能になるのです。
連続運転時間をリセット
4時間の運転について30分休憩が確保できると連続運転時間はリセットされます。またそこから新たな連続運転時間となりますので計算を別にするようにしましょう。
休憩時間を管理しなくてはいけないのはなぜか
事故のリスク
近年過酷な労働環境での仕事を行っていたドライバーが大きな事故を起こすというケースが増加しています。
休憩時間が足りないと集中力が低下し、事故を起こすことにつながっているのです。休憩時間を確保することが事故のリスクを下げることになるのです。
訴訟のリスク
休憩時間が正しく管理されていないとドライバーが残業代を請求してきたときに休憩時間を正しく確保できていなかったと言われることがあります。
ドライバーが運行記録などで休憩できていなかったことを証拠として提出した場合などは休憩時間分も残業代として請求される可能性があります。
また、休憩時間が取れていなかったことでドライバーが過労死したり、過労によって事故を起こした場合などは損害賠償請求訴訟を起こされる可能性があります。
これは「使用者は労働者の安全と健康を守るために必要な配慮をする義務」を負っているためです。「労働者の労働時間、休憩時間、休日、休憩場所などを確保する」ことも義務に含まれているのです。
行政処分のリスク
労働基準法において「労働者の労働時間が6時間を超える場合には使用者は休憩時間を与えなければいけない」と義務付けられていることに加えて、
運送業を対象とした改善基準告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」において、連続運転は最大4時間までとされ、
その後30分以上の休憩をとらなければいけないと定められています。
ドライバーの休憩時間については細かくルールが定められています。これはドライバーが休憩時間を確保できないままの長時間労働は大事故につながる可能性が高いためです。
そのため労働基準監督署では違法に長時間労働をドライバーに強要している運送会社については厳しい行政処分を行う場合があります。
まとめ
ドライバーの仕事は厳しいものであるだけに運行管理がしっかりと行われ、休憩時間が正しく確保されることは非常に重要です。
事故のリスクを下げるためにも、ドライバーの健康を維持するためにも正確に運行管理を行うようにしましょう。