フォークリフトの定期点検はどのタイミングで行うべき?年次点検にかかる費用は?
フォークリフトは工場、現場、倉庫などで幅広く使用される便利な車両ですが、定期的に点検を行う必要があります。年に一度の年次点検、月に一度の月次点検とあわせて、始業前にも必ずリフトの状態を確認します。
その中でも年次点検は、有資格者の点検を受けること、書類を保管することなどが義務付けられています。そこでここではフォークリフトの定期点検について紹介していきたいと思います。
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フォークリフトの定期点検
フォークリフトは工場や工事現場、倉庫などで多く使用される車両で、正しく利用すると非常に便利な車両です。しかしその大きさと形状とパワーから正しく使用することが重要になります。
また、普段から細かい点検をしておかなければいざというときに故障や誤作動の原因となってしまいます。また、フォークリフトの自主点検、自主検査は法律で決められています。
点検を行わない、結果を保管していないなどの違反をすると50万円の罰金が科せられることもありますので安全のためにも法令順守のためにも必ず点検を行いましょう。
点検には「年に一度の年次点検」「月に一度の月次点検」「始業前点検」の3種類があります。
フォークリフトの年次点検
フォークリフトの年次点検とは
フォークリフトの所有者は「労働安全衛生規則第151条の21」で、一年に一度「特定自主検査」を行うことが義務付けられています。
これは一年を超えない期間ごとに定期的に定められた項目について検査を行わなければならないというものです。違反すると50万円以下の罰金が科せられます。
この検査を行うには資格を持っている人でなければいけません。有資格者には2種類あり、「事業内検査者」は自社が保有しているフォークリフトのみ特定自主検査を行うことができ、
「検査業者検査員」は検査業者としての資格で依頼を受けたフォークリフトの特定自主検査を行うことが可能となっています。
点検内容
点検内容は以下の項目です。
- 圧縮圧力、弁すき間その他原動機の異常の有無
- デファレンシャル、プロペラシャフトその他動力伝達装置の異常の有無
- タイヤ、ホイールベアリングその他走行装置の異常の有無
- かじ取り車輪の左右の回転角度、ナックル、ロッド、アームその他操縦装置の異常の有無
- 制動能力、ブレーキドラム、ブレーキシューその他制動装置の異常の有無
- フォーク、マスト、チェーン、チェーンホイールその他荷役装置の異常の有無
- 油圧ポンプ、油圧モーター、シリンダー、安全弁その他油圧装置の異常の有無
- 電圧、電流その他電気系統の異常の有無
- 車体、ヘッドガード、バックレスト、警報装置、方向指示器、灯火装置及び計器の異常の有無
年次点検を怠った場合の罰則
年に一度の特定自主検査ではその検査での結果を記録した上で3年間保存しておかなくてはいけません。つまり検査を行っただけでなく、その記録を正しく保管しておく義務があるのです。
年次点検を怠ったり、記録が正しく保管されていなかった場合には50万円以下の罰金が科せられることになります。記録して保管しておく内容は以下のものになります。
- 検査年月日
- 検査方法
- 検査箇所
- 検査の結果
- 検査を実施した者の氏名
- 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
フォークリフトの月次点検
フォークリフトの月次点検とは
また、事業者は1ヶ月以内ごとに一度定期的に自主検査をしなければいけません。この点検に関しては特別な資格は必要はありませんが、検査結果については年次点検の時と同様に記録して保管しておく必要があります。
監査が入った場合にはこの記録を提出しなければならないために必ず保管しておかなければいけません。
点検内容
月次点検の際に検査するのは以下の項目となります。
- 制動装置、クラッチ及び操縦装置の異常の有無
- 荷役装置及び油圧装置の異常の有無
- ヘッドガード及びバックレストの異常の有無
これらを検査したら結果を記録して保管しておきましょう。
月次点検を怠った場合の罰則
検査記録に関しては年次点検の時と同様に保管しておかなければいけません。月次点検に関しては特別な罰則はありませんが、監査が入った際などは記録を提出しなければいけません。
もし点検を行っていない、記録を残していないという状態の時に事故を起こしたときなどは整備不良などの違反になることがありますので、やはり点検をして記録を残しておくのがもっとも確実です。
フォークリフトの始業前点検
フォークリフトの始業前点検とは
「労働安全衛生規則第151条の25」によってフォークリフトは毎日作業を開始する前に始業点検を行わなければならないと決められています。
これについては資格は必要ありませんし、記録を保管しなければならないという決まりも罰則もありません。しかし早めに故障を見つけたり事故を未然に防ぐという意味合いからも行うべきだと言えます。
簡単なチェックシートを用意していると時間をかけずに行うことができます。
点検内容
ここでの点検は電源が正常に入るかどうか、操作が確実に行えるかどうかという基本的な点検が基本となります。点検項目は以下の通りです。
- 制動装置及び操縦装置の機能
- 荷役装置及び油圧装置の機能
- 車輪の異常の有無
- 前照灯、後照灯、方向指示器及び警報装置の機能
年次点検の検査資格者になるには?
年次点検の検査資格者
労働安全衛生法では、「事業者はフォークリフトについては、1年以内ごとに1回、定期に、所定事項について自主検査を行い、その結果を記録しなければならない」と規定されています。
また、この自主検査は「特定自主検査」として「その使用する労働者で厚生労働省令で定める資格を有する者又は検査業者に実施させなければならない」となっています。
(労働安全衛生法第45条第2項、労働安全衛生規則第151条の21、第151条の24)
これが自社が保有しているフォークリフトを特定自主検査できる「事業内検査者」と、依頼を受けたフォークリフトの特定自主検査を行うことができる「検査業者検査員」ということになります。
この資格を取得するには公益社団法人「建設荷役車両安全技術協会」主催の研修を受ける必要があります。
年次点検を業者に頼んだ場合の費用
当然のことですが料金は業者によって違ってきます。基本となるのは「検査料金」「ショートパーツ代」「証明書費用」「出張料金」の合計金額となります。
ショートパーツとはグリース・パーツクリーナー・バッテリー補充液などを指しています。
一例をあげていくと
- 特定自主検査料金 (1台につき)
重さ | 料金 |
~1.0トン未満 | 28,000円 |
1.0トン~2.0トン未満 | 36,000円 |
2.0トン~2.5トン未満 | 40,000円 |
2.5トン~3.5トン未満 | 45,000円 |
3.5トン~5.0トン未満 | 53,000円 |
などで特別な整備や部品が必要になった場合は追加料金が必要となります。
- ショートパーツ代 (1台につき) 3,500円
- 特定自主検査証明書費用 (1台につき) 2,200円
- 出張料金 業者からの距離による
これらの合計金額だと思っておきましょう。ただし業者によってこの金額は変わるため、いくつかの業者に見積もりをとってもらうと安心です。
まとめ
フォークリフトは非常に便利な車両ですが、3種類の点検を行わなければいけない車両でもあります。法令遵守のためでもありますし、何より安全のためにも必ず点検を行うようにしましょう。