タンクローリーの構造は危険を防ぐために考えられていた!
タンクローリーは液体を輸送するための車両であるため特殊な形状をしています。一度「あれがタンクローリーだ」と聞けば誰でもすぐに覚えてしまいますよね。
今回はタンクローリーの構造はどうなっているのかをお話いたします。
Contents
液体輸送には欠かせないタンクローリー
タンクローリーは国が定めた移動するタンク(貯蔵庫)として扱われています。非常に強い材質でできているので破損しにくくできています。
液体を運ぶのに適している構造をしています。輸送するのは石油製品や化学薬品、食品などが中心となっています。
タンクは液体を輸送するので小さな部屋に分かれています。独立した仕切られた部屋に一定量の液体を入れて輸送することで揺れに強くできています。
実はタンクローリーは輸送する液体によってタンクの材質が違ったりするのですがご存知でしょうか。
そしてタンクローリーは輸送するものが危険物に指定されているものなので、輸送する時には細心の注意を払う必要があるのです。
タンクローリーにはどんな危険があるの?
タンクローリーは輸送する荷物が危険がありますが、どんな危険があるのかをわかりやすくお話いたします。
車両の横転
タンクローリーは液体を積んで走るのですが、万が一車両が横転するような事故になってしまった場合、タンクから液体が漏れ出す可能性があります。
もしもこの時積んでいたのが石油系の液体だった場合、引火による爆発が起こらないとも限りません。
タンクは小部屋に仕切られているので全てから流れ出るということは無いかもしれませんが、漏れた液体に火花が引火した場合には他のタンクも爆発し炎上しかねません。
例をあげると下り坂の先に急カーブがある道路で減速しきれず単独事故を起こした事故がありました。この事故では横転して2度の爆発が起こりました。
タンクローリーは横転事故には気を付けなくてはならないのです。
事故などによる液漏れ
タンクローリーが事故に巻き込まれたり自ら事故を起こした場合、タンクローリーのタンクに亀裂が入って液漏れがすることもあります。
輸送している液が危険物であった場合には周囲への影響が懸念されます。万が一爆発したりしたらけが人が出る可能性があります。
また、有毒ガスなどが出る化学薬品だった場合には住民の避難など大掛かりな規制が必要になりますし、何よりも液漏れした場合には後続車への影響も考えなくてはなりません。
輸送している荷物がガソリン系だった場合には科学消防隊が出動することもあります。なので事故防止に努めなくてはなりません。
火災
タンクローリーの危険で最も恐ろしいのが火災です。
例えば横転事故を起こしても液漏れがあっても火災が起こらなければ被害が甚大になることはありませんが、万が一流れ出た液体に引火した場合は相当な被害が予想されます。
引火した炎によってタンクローリーの隔壁が破壊され、他のタンクに入った液体にも引火してしまって、大爆発や火災が発生することがあるのです。
もし交通量が多い道路で火災が発生した場合には他の車両への被害も甚大です。
消防が対応できれば良いですがその火災によって近くの住宅が火災に巻き込まれたりすることもあるので、運転する時には事故の防止をしっかりと考えなくてはならないのです。
タンクローリーの構造は危険を回避するために考えられたもの!
タンクローリーの事故は防げれば恐れることはありません。ここではタンクローリーの構造がいかにして危険を回避できるかをご紹介いたします。
横転を防ぐための防波板
コップの中に液体を入れて歩くと揺れてこぼれてしまいますよね。
でももしもコップの中に仕切りがあったら揺れは意外と抑えられて、こぼれる頻度が下がっていきます。安定した状態で液体を運ぶことができるわけです。
タンクローリーの内部も実は同じなのです。走行中に車線を変更したりカーブを曲がったり交差点を曲がったりする時、タンクローリーの液体は横揺れが起こるのです。
これを防ぐために防波板というものが取り付けられています。小分けにされたタンクの中で防波板が設置されているので、液体の揺れが抑えられて横転を防止する働きを果たしているのです。
横転後の転がりを防ぐ側面枠
タンクローリーを見るとつるっとしていて大きな容器に液体を大量に入れて輸送しているように見えるかもしれませんが、液体を輸送する時には揺り返しがあるので大きなタンクに大量の液体を入れて輸送するのは非常に危険なことなのです。
そのためタンクローリーのタンクにはいくつもの仕切りがつけられていて、複数の小部屋に分けられているのです。その小部屋それぞれに同じ量の液体を入れて輸送します。
万が一横転するようなことがあった場合には側面枠という突起物がつけられています。この突起物があることによって事故による横転の際に、中身が流れ出ていかないようになっています。
液漏れ流出を防ぐ防護枠
タンクローリーのタンクの上部にフタのようなものがあるのを見たことがありませんか?実はあのフタはタンクローリーの上部にある液体を入れる穴を保護するための防護枠というものなのです。
ちなみにタンクの液体の注入口の上に防護枠を取り付けていれば、万が一事故にあった場合や異常があってもタンクローリーの注入口から内容物が出てしまわないように保護されているのですね。
これは危険物の規制に関する法令の第十五条一項第七号の義務として義務づけられているのです。これにより液漏れや流出を防いでいるわけです。
火災拡大を防ぐ緊急停止装置
タンクローリーの危険は事故によるものだけではありません。例えば石油系の製品の輸送をする時には引火という危険があります。
ちょっとした火花でも引火して爆発や火災を起こす可能性があるからです。特にガソリンなどの場合は高い揮発性があるので火気厳禁です。
万が一注入や荷下ろしをする時に引火してしまい、火災が発生してしまった場合には大火災になる危険があるので、いざという時のために緊急停止装置が付いています。
緊急停止装置を引くとタンクローリーの全室の弁が一気に閉鎖し、火災が発生しないようになっています。
ちなみに万が一車両火災になっても自動で弁が閉まるようになっています。
タンクローリーには輸送効率を上げるための構造も!
タンクローリーの内部は小分けした部屋があり、それぞれに液体を入れて輸送することができるとお話ししましたが、一種類の液体だけを輸送するのではなく数種類の液体を同時に輸送することも可能です。
例えば石油系の製品の場合だと、灯油、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油という感じで、複数の商品を一気に輸送できれば複数回に分けて輸送するよりも効率的に輸送ができますよね。
それは仕切り板がそれぞれのタンクの小部屋に溶接されているからなのです。この構造についてはよくタンクローリーの後ろに混載の内容が記載されているのでご存知の方も多かったかもしれませんね。
まとめ
今回はタンクローリーの構造、危険性などについてご紹介いたしました。
タンクローリーが輸送しているのは危険物が多いですが、様々な工夫で安全性が高いこともわかっていただけたのではないでしょうか。
この記事がドライバーを目指す方のお役に立てれば幸いです。