分割休息とは?改善基準告示をわかりやすく解説します!
ドライバーの休息を確実に与えることは厚生労働者からも厳しく指示されていることです。
休息時間は基本的に8時間与えるものとされているのですが、勤務体系によっては難しい場合もあります。そこであるのが分割休息です。
ここではその分割休息やトラックドライバーの労働時間について紹介していきたいと思います。
Contents
改善基準告示とは
近年ドライバーの過酷な長時間勤務によって過労が起こり、それが原因での事故が多発しました。そこで国土交通省ではドライバーの長時間勤務を改善するために「改善基準告示」を行っています。
この基準に違反した事業者には業務停止など厳しい処分が与えられることになります。乗務時間の基準に著しく違反した場合は30日の営業停止処分を受けることになります。
国土交通省の通達によると「著しく遵守されていない」という状態は、
「事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準(平成13年国土交通省告示第1365号。以下告示)の未遵守が1カ月間で計31件以上あった運転者が3名以上確認され、かつ、過半数の運転者について告示に規定する拘束時間の未遵守が確認された場合をいう」
となっています。
改善基準告示のポイント
拘束時間
拘束時間は仕事に携わっている時間のすべてを指しています。ドライバーであれば運転している時間、積み荷を積み降ろしている時間、報告書を書いている時間、荷受け場での待機時間などすべてがこれに含まれます。
待機時間中は休憩していることも多いのですが、その場にいて仕事に対応できる体制を維持しなければいけないため、これも拘束時間に含まれるのです。
基本は
- 1ヶ月の拘束時間は原則293時間以下、特例として1年間6か月まで320時間まで延長可能。
- 1日の拘束時間は原則として13時間で、最大16時間まで。15時間を超える回数は1週間につき2回が限度。
となっています。
休息期間
休息期間とは前の勤務が終了してから次の勤務が開始されるまでの間の時間をいいます。1日あたり8時間以上とることが決められており、連続勤務を避けることが意図されています。
- 1日の休息期間は原則8時間以上必要。
- 1日24時間=拘束時間(16時間以内)+休息時間(8時間以上)であること。
- ドライバーの住所地での休息時間がそれ以外の場所(事務所内の休憩所など)より長くなること。
という決まりがあります。
運転時間と連続運転時間
運転時間は名前の通りに「運転している時間」です。最近ではデジタコなどで正確に運転時間が記録されるようになっています。
規定としては、
- 連続運転時間は4時間以内、または4時間経過直後に30分以上の休憩時間を確保することにより、運転を中断する。
- 4時間以内に運転を中断する場合の休憩時間は、少なくとも1回につき10分以上休憩をとる。
- 1日平均の1日の運転時間は9時間以下、2週間平均の1週間の運転時間は44時間以下にすること。
と決まりがあります。
休日労働
時間外労働と休日労働にはそれぞれ限度が設けられています。時間外労働および休日労働となる場合は、
- 1日の最大拘束時間16時間以内
- 1カ月の原則となる拘束時間293時間が限度
時間外労働または休日労働を行う場合は、労働基準法第36条に基づく「時間外・休日労働に関する協定届(36協定)」を事前に労使によって凍結した上で届け出を提出しなくてはなりません。
この休日労働は2週間に1回の頻度でしか行えません。
分割休息について
分割休息ってどういう意味?
分割休息は連続して休息を8時間取れない長距離ドライバーなどの場合、分割して休息をとることを言います。
分割休息の特例
特例が4つ提示されています。
- 1台のトラックに2名以上が乗務する場合(車両内に体を伸ばして休息することができる設備がある場合のみ)においては1日の最大拘束時間を20時間まで延長でき、休息時間を4時間まで短縮ができる。
- 業務の必要上、勤務終了後に継続した8時間以上の休息時間を与えることが困難な場合、当分の間、一定期間(原則として2週間〜4週間程度)における全勤務回数の2分の1の回数を限度とし、休息期間を分割して与えることができる。
- 業務の必要上、やむを得ない場合は2暦日における拘束時間は21時間を超えない、または勤務終了後に継続20時間以上の休息期間を与えることを条件に隔日勤務に就かせることができる。
- ドライバーが勤務中にフェリーの乗船する場合、乗船時間が2時間を超える場合は乗船時間は原則として休息期間として取り扱いができる。
分割休息の特例は多用できない
ただしこれらの分割休息の特例は多用することはできません。基本的には原則を守ることとなります。
ドライバーの適性労働時間を守るために
日報で労働時間を管理する
以前はドライバーの労働時間の管理が曖昧にされていることがあり、それが長時間労働になることを生み出していました。
しかし最近ではデジタコで正確な運転時間が記録できますし、ほとんどの会社で日報や報告書の提出が行われています。これらの実績を正確に残すことで労働時間を管理していくことが重要なのです。
管理者の意識改革
「長く働かせればそれだけ儲かる」といった意識を管理者がしていたことが多くの事故を発生させました。
管理者がドライバーの労働時間を正しく管理して健康状態を把握していくことが結果的には会社にとってメリットになるという意識を持つことが重要なのです。
もちろん違反していると行政処分を受けるという現実的な問題もあります。
まとめ
ドライバーの労働時間の管理は近年絶対条件となっています。ドライバーの健康管理のため、監査を受けても問題ない状態を作るためにもしっかりと労務管理を行っていきましょう。